農協法に農業所得増大を盛り込み 法改正案2015年1月30日
農林水産省は1月30日午前、自民党の農協改革等法案検討PTに農協法改正の検討状況を示した。
中央会制度や准組合員の利用制限などは「政府部内で検討中」とした。 会合では中央会監査について業務監査と一体となった現在の監査を「現行のまま進めるべき」との意見が出た一方、公認会計士監査との選択制とすべきとの意見もあった。そのほか「単協をしっかり育ててほしい。そのためにもっと経済事業に重点を置くべき」などの指摘もあった。
示された農協法改正案の検討状況では、単協の理事の過半数を原則として認定農業者や農産物販売・経営のプロとすることを求める規定を置くことや、農協の利益を事業の成長発展のための投資や組合員への利用高配当にあてる方向での改正を検討していることなどが示された。農業委員会改革では農業委員の公選制を廃止し、議会の同意を前提とした市町村長の任命制度への改正案などを示した。
吉川貴盛PT座長は中央会制度や准組合員問題など、「党の議論をふまえたうえで早急に検討して答えを出してほしい」と農水省に求めた。次の会合で法改正の全体像が示される見込みとなったがその時期については不透明。
◇
農協法改正案のおもな検討状況は以下のとおり。
【単協の金融事業の負担やリスクの軽減】
農協系統の要請をふまえ、単位農協の信用事業譲渡をより円滑に行う観点から所要の規定を整備する方向で検討中(JAバンク法について農協が農林中金等に信用事業の全部を譲渡した場合だけでなく、一部を譲渡した場合にも、農林中金等の業務代理を行うことができるようにする、など)
【単協の理事】
理事の過半数を原則として認定農業者や農産物販売・経営のプロとすることを求める規定を置く方向で検討中。
理事の選任にあたっては理事の年齢や性別に著しい偏りが生じないように配慮する旨の配慮を求める方向で検討中。
【農協法8条(営利の禁止)】
(1) 組合は、その行う事業によってその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、、農業所得の増大その他の農業者の利益の増進を図らなければならない。
(2) 農協は、その目的を達成するため、的確な事業活動により利益を上げ、その利益を事業の成長の成長発展を図るための投資や組合員への利用高配充てる、旨に改正する方向で検討中。
【連合会・中央会と単協】
農協・連合会は、組合員・単位農協に事業利用を強制してはならないことを明記するとともに、専属利用契約(1年を超えない期間を限り、組合員が組合の事業の一部を専ら利用する旨の契約)に関する規定を削除する方向で検討中。
この他、農協・連合会は農業者・単位農協が自主的に設立・運営する組織であることを徹底する観点から規定の整備を行う方向で検討中。(定款の定めにより出資を強制する回転出資金制度の廃止。組合の設立・定款変更に関する認可基準を緩和するなど)
【単協の組織の分割など】
農協について、その選択により、組合を設立する新設分割及び組合から株式会社、消費生活協同組合等への組織変更ができる規定を置く方向で検討中。
【准組合員の事業利用】
政府部内で検討中
【中央会のあり方】
政府部内で検討中
【全農・経済連の株式会社化】
全農・経済連について、その選択により株式会社に組織変更ができる規定を置く方向で検討中。
【厚生連】
病院等を設置する厚生連について、その選択により、社会医療法人に組織変更ができる規定を置く方向で検討中。
【農林中金・信連・全共連の株式会社化】
金融庁と長期的に検討。
【その他】
農協の共済事業について平成26年の保険業法の改正(契約者への情報提供、共済代理店に係る体制整備義務等)をふまえた規定の整備を行う。
農産物の保管事業を農協の事業として明確化し、農業倉庫業法を廃止する、など。
(関連記事)
・「農協改革断行を」有村規制改革担当大臣 (15.01.29)
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