様変わりする地方移住 若者の価値観が変化 20代がー「3・11」契機に2017年9月19日
ふるさと回帰センター(東京)の移住相談カードからまとめた移住希望地をみると、長野、山梨が上位にあるのは変わらないが、3位以下はずらりと西日本が占めている。岡山、島根、広島、福岡、大分、長崎、宮崎、高知など中四国、九州地方が多い。5、6年前まであった山形、秋田、北海道など北日本は上位から姿を消している。
かつては定年退職者を中心とする高齢者が第2の人生を求めてUターン、Iターンなどで田舎住まいするケースが多かったが、同センターの利用者の年齢を見ると2008年の集計で60歳以上が41.6%を占めていたものが、2016年には15.7%割に減った。一方20~30代は16.0%から45.5%となった。
この傾向はリーマンショック後の2009年から始まり、さらに2011年の東日本大震災で子育て世代の30代が増え、さらに人口減少対策として移住施策を講じた「地方版総合戦略」で20代が一挙に全体の3割近くを占めるほどになった。リーマンショック、東日本大震災が地方移住の大きな契機になったことが分かる。
20~30代の若者の移住で多いのは都会から地方へのIターンだが、この数年は地方から一度都会に出て働いたのち地方へ移るUターンが増えている。2014年で、Iターンが62.2%でUターンが32.5%を占める。特に20代以下のUターンが4割強に達する。2014年までのUターンは2割程度だったことからみると大きな変化だと言える。
農山漁村へ定住願望も20代が最も多い。内閣府の2014年の調査によると、定住願望が「ある」と「どちらかというとある」を含めて38.7%で、2番目の40代35.1%を抑えて最も高い。2005年の同じ調査では30.3%とやや低いが、世代別でもトップになっている。つまり、若者の農村への定住願望は2000年ころから始まっており、それも年々高まっていることが分かる。
同センターの2016年の調査で定住地選択の条件を聞いたところ、最も多いのが「就労の機会があること」で、それまでの「自然環境が良いこと」を逆転したが、農村移住で最も問題になるのは就労である。「半農プラスX」(農業と他の収入源)、「悠々自適」は年々少なくなっている。つまり農村で定職を得て移住・定住したいという願望の強まりがある。それを市町村はどのように用意するか。これは農業生産とともに、農産物加工や高齢者福祉、食農活動など、さまざまな事業を行なっているJAの役目でもある。
(関連記事)
・交流→移住→定住へ 目的持って受け入れ(17.09.19)
・ 農業するなら山口県で 第2回やまぐち就農ゆめツアー開催(17.08.04)
・第23回 農村にいかに人材を増やすか 明治大学教授 小田切徳美氏に聞く(1)(17.07.15)
・「田園回帰」30代で増加 過疎地に女性の移住も 総務省調査(17.03.29)
・日本公庫初の移住応援イベント(17.02.08)
・移住希望者に無料で農業体験 曽於市移住応援プロジェクト(15.08.24)
重要な記事
最新の記事
-
不測事態の食料確保、スマート農業法など3法案 衆院で審議スタート2024年4月25日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 滋賀県2024年4月25日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 鳥取県2024年4月25日
-
【注意報】ウメ、モモ、などに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 和歌山県2024年4月25日
-
【特殊報】キュウリに「キュウリ黄化病」府内で初めて確認 京都府2024年4月25日
-
電動3輪スクーター「EVデリバリー」JA豊橋に導入 ブレイズ2024年4月25日
-
ほ場作業の約9割を自動化するオートコンバイン「YH6135,A7135,A」発売 ヤンマー2024年4月25日
-
むらぐるみの共同労働【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第288回2024年4月25日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「農村は国の本」~焚書として消された丸本彰造著『食糧戰爭』が復刻された2024年4月25日
-
【JA人事】JA水戸(茨城県)新組合長に園部優氏(4月21日)2024年4月25日
-
【人事異動】フジタ(4月1日付)2024年4月25日
-
米麦水分計PB-Rを新発売 ケツト化学2024年4月25日
-
全国の小学校・児童館に横断旗を寄贈「7才の交通安全プロジェクト」こくみん共済 coop2024年4月25日
-
自然とふれあう農業体験 伊勢崎市で27日に開催 パルシステム群馬2024年4月25日
-
野菜の鮮度保持袋で物流2024年問題解決へ「JAGRI KYUSHU」に出展 ベルグリーンワイズ2024年4月25日
-
粉末化でフードロス解決に挑戦 オンラインセミナー開催 アグリフューチャージャパン2024年4月25日
-
長期保存食「からだを想う野菜スープ」シリーズ新発売 アルファー食品2024年4月25日
-
生産者と寄附者が直接つながる「ポケマルふるさと納税」が特許取得 雨風太陽2024年4月25日
-
焼けた香りや音に満足感「パンの食習慣」アンケート実施 パルシステム2024年4月25日
-
埼玉県産いちごの魅力を伝える「いちごソング」が完成2024年4月25日