岐阜の豚コレラ 強毒株より低い病原性-農研機構2018年11月29日
農研機構動物衛生研究部門は11月16日、岐阜県で発生した豚コレラ発生農場の飼養豚から分離されたウイルスを用いて感染試験を行い、その結果を発表した。
わが国で、豚コレラは1887年の北海道での初発例以降発生が継続していたが、1969年から生ワクチンの使用が開始され発生数が激減し、1992年の熊本県での発生以降確認されていなかった。しかし、今年9月岐阜県で26年ぶりに同病の発生が確認された。
この試験では、2018年9月に岐阜県で発生した豚コレラの原因ウイルスを分離し、このウイルス株を用いて豚への感染試験を行い、強毒株との比較からその特徴を明らかにした。
筋肉内接種試験で、強毒株接種豚では接種5日後に下痢、起立困難、神経症状を示し瀕死状態に陥ったが、2018年分離株接種豚は接種15日後(試験終了日)まで生残した。しかし、2018年分離株接種豚も、強毒株接種豚と同様に、40℃を超える発熱および白血球減少を示した。2018年分離株の経口接種豚でも同様に、40℃を超える発熱および白血球減少を示したが、接種14日後(試験終了日)まで生残した。
2018年分離株接種豚と同房で飼育した同居豚も感染し、40℃を超える発熱、白血球減少の臨床症状を示した。また、2018年分離株のウイルス遺伝子は、接種豚および同居豚の唾液、鼻汁および糞便から感染後最低2週間検出された。血中の抗体は2週間以降に検出されることが明らかとなった。
試験結果は、2018年分離株は豚に臨床症状を引き起こすものの、その病原性は強毒株よりも低いことが確認された。
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