EU 共通農業政策で暫定合意2021年7月2日
EUで交渉が続いていた2023~27年の共通農業政策(CAP)について、EU理事会と欧州議会が6月末に暫定合意した。ジェトロ(日本貿易振興機構)のビジネス短信が7月1日付で伝えている。
欧州委員会が次期CAP予算案を発表したのは2018年6月。環境へのより強い規制の一方、予算合理化も示されたことから加盟国や農業団体から反発が出た。その後、2年以上が経過した昨年10月からEU農業担当理事会と欧州議会などで交渉が本格化し、6月25日にEU理事会と欧州議会で暫定合意した。
農業はEU全体で排出される温室効果ガスの1割を占めることや、農薬や化学肥料の使用などを環境団体が批判してきた。EUは2020年5月に環境に配慮した農業を促進する「Farm to Fork」戦略を発表し、2030年までに化学農薬の使用量を50%削減し有機農業を25%に拡大するなどの目標を打ち出した。
新たな共通農業政策はこれをふまえたもので環境対策の重視を打ち出した。今回の共通農業政策では直接支払いの要件(クロスコンプライアンス)として現行以上の環境への取り組みを義務として求める。
さらに、より積極的に環境対策に取り組む農業者への支援として「エコ・スキーム」の導入を加盟国に義務づける。直接支払いの受給要件として、農耕地の3%以上を生物多様性維持のために保全することなどを求める。
農協・農業者団体のCOPA-COGECAは暫定合意に歓迎を表明したが、欧州各国の他の環境政策との一貫性など、まだ農業者にとって懸念があるとした。欧州の青年農業者組織は40歳までの青年農家への直接支払いや、新規就農、投資に加盟国の予算の3%を充てる義務づけを歓迎した。
一方で欧州各国の環境NGOのネットワーク組織は、規制や予算で加盟国の裁量が拡大することなどに失望感を示していることをジェトロのビジネス短信は伝えている。
欧州委員会のティメルマンス上級副委員長は「合意は欧州の農業実践方法の真の変化の始まりを意味する」とのコメントを6月25日に発表した。
そのなかで「今後数年間で、湿地や泥炭地を保護し、より多くの農地を生物多様性にあて有機農業を強化し、炭素農法によって農家の新たな収入源を開拓し、所得支援の分配における不平等を是正し始めるだろう」との見通しを述べている。
正式に承認されれば加盟国は2021年12月31日までにCAP戦略計画案を欧州委員会に提出する。その後、委員会が計画を評価・承認し2023年初頭に発効する予定だ。
発効後、2025年、27年に各国の取り組み状況を評価する。
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