「食と環境の調和」を特集 食育白書2022年5月31日
政府は5月31日の閣議で2021(令和3)年度の「食育白書」を決定した。特集は「食と環境の調和」を取り上げ、環境に配慮した食生活に関する国民の意識と実践状況、環境と調和のとれた食料生産とその消費の取り組みなどを紹介している。
特集では「環境に配慮した農林水産物・食品の選択は、環境への負荷を減らし持続可能な食料システムの構築につながる」ことを強調した。
ただし、環境への配慮について理解は必ずしも深まっていない。
農水省の意識調査によると「国産のもの」をもっともよく選んでいると回答した人の選択理由は「品質がよいと思うから」が84.5%で「環境問題を解決したいから」は12.6%にとどまっている。
有機食品についての調査では飲食の理由を「自分や家族が病気にならないため」との回答が22.6%ともっとも多く「環境を守るため」は7.6%に過ぎず、環境との関わりを意識している人が少ないことを指摘している。
一方、地球環境問題に「関心がある」と回答した人の80.2%は環境に配慮した農林水産物・食品を選んでいることが示された。
「いつも選んでいる」「時々選んでいる」人は、そのきっかけになったのは「出版物やテレビ、ウェブサイトなどメディア」との回答がもっとも多い。他方、「あまり選んでいない」「まったく選んでいない」人の理由は「どれが環境に配慮した農林水産物・食品か判断する情報がない」が55.6%ともっとも多かった。
環境に配慮した農産物・食品は「有機JASマーク」や「水産エコラベル」などがあるが、認証マークの認知度の低さが課題となっており、白書は「認証マークの付いた商品数を増やし消費者の目に触れる機会を増やすとともに、認証マークの普及啓発に努めていくことが重要」と指摘している。
また、食料安全保障をめぐる状況についてコロナ禍やロシアのウクライナ侵略もふまえ、農業資材価格の高騰や、主要農産物の輸入状況、食品価格の動向など4ページにわたって記述。農産物や食品の価格は天候や季節だけでなく輸入原材料などの影響も受けるため「食料安全保障の確立には国民の理解の増進が不可欠」と強調した。
貧困の状況にある子どもへの食育についても記述した。子どもの貧困率は2018(平成30)年で13.5%。2017年調査では子どもがある全世帯の16.9%に食料が買えない経験があった。白書では子ども食堂などの活動や、それを支援する政府の施策を解説した。
食品ロスは大きな課題だ。2019年度の食品ロス量は推計570万t。減少傾向にあるが、2020年の国連世界食糧計画(WFP)による食料支援量の約420万tを上回っている。
白書では東京オリンピック、パラリンピックで選手村の食堂を通じて持続可能性を高い日本の食文化を世界に発信したことも紹介している。一方で東京オリンピックでは会場で大量の食材の廃棄が問題となり、東京都内の子ども食堂からは「廃棄するぐらいなら私たちに」との声を伝える報道もあった。しかし、このコラムでは廃棄問題には一言も触れていない。
重要な記事
最新の記事
-
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日 -
鹿児島県「三島村フェア」開催 東京・日本橋で特産品を販売 離島百貨店2025年12月15日 -
三浦市・JA三浦市と開発「三浦大根を使った和風カレー」発売 石井食品2025年12月15日


































