【2025農林業センサス】農業集落調査 全項目を追加 自給的農家も対象2022年12月7日
農林水産省は12月6日、第4回2025年農林業センサス研究会を開き、農業集落調査の変更案を説明した。
農水省は、11月8日にこれまでの集落調査の代替案として、「農業経営体調査」(全国の農林業経営体を対象とする悉皆調査)に集落調査の主要な項目を追加することを示していた。
この日は委員からの意見をふまえて、変更案として調査項目は主要項目ではなく、2020年センサスの農業集落調査票の全項目を追加することを示した。
また、農林業経営体がいない約2万の集落については「農林業経営体調査客体候補名簿」によって、自給的農家、土地持ち非農家、その他の世帯(耕地面積の所有が5a未満)がいる集落を調査対象とすることも示した。これによって14万集落のうち、98%をカバーすることができるという。
また、農業経営体が2経営体の集落では自給的農家などから1客体を追加、1経営体の場合は2客体、農業経営体がゼロの場合は3客体を追加して選ぶ方針も示した。選ぶ基準は経営耕地面積の大きい順に自給的農家を選び、自給的農家もいない場合は経営耕地面積の大きい土地非農家から追加する。
こうした変更案について委員からは「見過ごせない問題がある」との指摘が出た。
集落調査は集落の寄り合いの回数や議題、地域資源の保全活動などを調査するもの。
東京大学農学生命科学研究科の竹田麻里特任研究員は、自給的農家を適切に把握できるかどうかに加えて「地域としての取り組みを(調査対象者)全員が正しく把握しているか分からない」と指摘、無記入が増えたり、個人の認識を聞くことになり、統計としての科学的根拠に懸念を示した。また、複数の住人に聞くことによって寄り合いの回数など、回答にばらつきが出た場合は「数値に代表性が乏しく統計の自己否定になる」として「反対せざるをえない」と指摘した。
橋口卓也明治大学農学部教授は、集落の活動などについて自治会長など「周囲から情報を得て責任を持って回答できる適格な人に聞くべき」として「とても是認できるものではない」と批判した。
一方、農水省は2020年調査で自治会長など集落の精通者の情報が個人情報保護の問題から得られなかったことや、精通者が見つかってもこの集落調査に答えられなかった実態もあったと話した。
そのうえで「代わり得る方法としては(農業)経営体に聞くこと。しかし、選ぶといっても選びようがない」と回答し、「厳密ではないということは受け止めて、実質的に継続する集落調査として(この代替案で)次回のセンサスに臨みたい」との意向を示した。
また、群馬県総務部の池田絹子統計課長は集落調査項目を全員に聞く必要があるのか疑問を示すとともに、集落調査項目を追加することで調査を行う自治体や回答者の負担が増えることを問題視した。
研究会は予定時間を1時間近くオーバーし、委員からは変更案に同意する意見は出なかった。農水省は来年2月中旬に最終の研究会を開き、調査方法などを示すことにしている。
(関連記事)
集落調査 経営体調査に項目追加 農水省が代替案
重要な記事
最新の記事
-
政府備蓄米、出荷急ぐ落札業者 店頭に並ぶのは4月初旬から? 今後の価格は見通し分かれる2025年3月25日
-
7年産米の事前契約価格に関心強まる【熊野孝文・米マーケット情報】2025年3月25日
-
「ぎふ清流GAP認証」のイチゴとトマト 子どもたち23人が農業体験 JA全農岐阜2025年3月25日
-
スプリングフェアに3600人超参加 農機に加えて園芸資材や生活関連など35社出展 JA全農いばらき2025年3月25日
-
JA全農「ニッポンエールプロジェクト」第5弾「瀬戸内広島レモン」共同開発商品を順次発売2025年3月25日
-
「JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会」九州代表チームが決定 優勝は佐賀県の「サガン鳥栖U-12」2025年3月25日
-
がん共済の仕組改訂 収入減にも対応 JA共済連2025年3月25日
-
直売所売り上げの一部を宇城市に寄付 JA熊本うき2025年3月25日
-
編集本部と制作本部を統合 4本部体制へ (一社)家の光協会2025年3月25日
-
【人事異動】(一社)家の光協会(4月1日付)2025年3月25日
-
千葉工業大学の学生たちとJAいちかわがコラボ 地元産「船橋のなし」がグミに さわやかな香りと濃厚な味わい2025年3月25日
-
蒸し大豆と味付け大豆 「幻の大豆」がオリジナル商品に JAあつぎ2025年3月25日
-
冷えても硬くならない 味・粘り・つや、三拍子揃った米「ミルキークイーン」 JA稲敷2025年3月25日
-
農家向け家庭雑誌『家の光』が創刊100周年 4月1日に記念号発売 家の光協会2025年3月25日
-
JA三井リース、安田倉庫 余剰電力循環型太陽光PPA導入 九州営業所の再エネ活用比率を最大化2025年3月25日
-
「春の牛乳シューカン」4月1日から『新生活応援キャンペーン』開始 ホクレン2025年3月25日
-
「AIビーフ技術」のスタートアップ ビーフソムリエへ出資 AgVenture Lab2025年3月25日
-
廃棄ユニフォームをポーチへ アップサイクルプロジェクト開始 ヤンマー2025年3月25日
-
体の内側から紫外線&乾燥対策「明治Wのスキンケアヨーグルト」新発売2025年3月25日
-
「私のフルーツこれ一本 1日分のマルチビタミン」新発売 カゴメ2025年3月25日