斑点米カメムシ類 多発に注意 令和6年度病害虫発生予報第5号(水稲特集)農水省2024年7月25日
農林水産省は7月24日、令和6年度病害虫発生予報第5号(水稲特集)を発表した。
向こう1か月の主要な病害虫の発生は、イネカメムシを含む斑点米カメムシ類の発生が、東北、関東、北陸、東海、近畿、四国、中国および南九州の一部の地域で多くなると予想されている。トビイロウンカは、一部の地域で飛来が確認されており、四国および北九州の一部の地域で多くなると予想。セジロウンカの発生が、南関東、北陸、中国、四国および南九州の一部の地域で多くなると予想されている。 また、紋枯病の発生が、北東北および四国の一部の地域で多くなると予想されている。
◎水稲
水稲で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫と地域

・斑点米カメムシ類の発生が、東北、関東、北陸、東海、近畿、四国、中国および南九州の一部の地域で多くなると予想されている。
・トビイロウンカは、一部の地域で飛来が確認されており、四国および北九州の一部の地域で多くなると予想。飛来時期が年々早まっている傾向にあり、今年も例年に比べ早期の飛来が確認されていること、飛来量も多い状況にあることから、九州以北の東海、近畿、中国、四国等の地域でも被害を例年以上に警戒する必要がある。薬剤防除にあたっては、若齢幼虫期が防除適期となるが、地域により成虫の飛来時期が異なるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、地域の発生状況を把握しながら、タイミングをとらえた適切な防除を実施する。
・セジロウンカの発生が、南関東、北陸、中国、四国および南九州の一部の地域で多くなると予想。梅雨時期に中国大陸から飛来し、本田で増殖して水稲を加害する。本田の見回りの際には株元を注意深く観察し、株元に褐色の点またはすじ状の傷(産卵痕)が目立ち、成虫または幼虫の発生が多く見られる場合は、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に適期に防除を実施する。
・紋枯病の発生が、北東北及び四国の一部の地域で多くなると予想。同病は高温多湿条件で発生が助長される。また、上位葉が発病すると減収に繋がるため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、上位葉に進展しないよう本病の発生状況に応じた防除を実施する。
・いもち病の発生が、甲信、近畿および四国の一部の地域で多くなると予想されており、長野県から注意報が発表されている。今後、断続的な降雨がある場合には同病が急激に発生するおそれがある。また、葉いもちの発生が多く、上位葉に葉いもちの病斑が見られる場合は、葉いもちから穂いもちへの移行が懸念される。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、発生状況に応じて穂いもちに進展しないように防除を実施する。
なお、一部の薬剤に対して耐性菌が発生しているため、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に効果的な薬剤による防除を実施する。
・縞葉枯病(ヒメトビウンカ)の発生が、南関東の一部の地域で多くなると予想。同病は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病で、経卵伝染により次世代もウイルス媒介が継続するため、当該虫を対象とした防除を実施することが重要。なお、当該虫の防除を実施する場合は、薬剤抵抗性の発達を助長しないよう、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統の薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定する。
・ツマグロヨコバイの発生が、南関東、東海および四国の一部の地域で多くなると予想。多発すると吸汁による生育不良を引き起こし、出穂期以降では茎葉や穂にすす病を引き起こす。また、イネ萎縮病などのウイルス病を媒介する。都道府県の発表する発生予察情報等を参考に、水田の観察を行い、本田での発生状況を把握するとともに、適期に防除を実施する。
・スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は、田植え直後の葉や茎が柔らかい時期に水稲を加害する。来年の発生を抑えるため、収穫後の防除として、都道府県が発表する発生予察情報等を参考に、石灰窒素の散布や冬期の耕うん等による殺貝を実施する。スクミリンゴガイは、農機具・機械に付着した泥とともに他のほ場へ拡散するおそれがあることから、発生ほ場で使用後、泥をよく落としてから移動させるよう心がける。なお、一旦定着したスクミリンゴガイを根絶することは困難で、周辺の水田にも悪影響が及ぶことから、除草目的であっても、未発生地域や被害防止に取り組む地域でのスクミリンゴガイの放飼は行わない。
農水省は、被害防止対策に関するマニュアルや動画などをホームページに掲載。また、農研機構植物防疫研究部門を代表機関とするコンソーシアムが、防除技術、リスク地図等を紹介する「スクミリンゴガイの防除支援マニュアル」を公開している。
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