国産原料の活用促進 農業と食品産業の連携支援を法制化へ 農水省2024年9月6日
農林水産省は国産原材料の活用などを促進するため農業と食品産業との連携強化を支援する法制度づくりを検討している。コストを考慮した価格形成を実現するための法制度と合わせた2本の法律で持続的な食料システムの確立を図る。法案は2025年中の国会提出をめざす。
農水省は昨年夏に関係団体で構成する検討会(食品産業の持続的な発展に向けた検討会)を立ち上げて、食料システムの持続性を確保する課題を議論してきた。
議論のなかで食料の輸入リスクの高まりや、環境問題への対応の必要性、大豆を使った植物肉の開発など進展するフードテックなど新技術への対応などが課題とされた。その一方で、小規模な中小企業が多くを占めるという業界構造もある。
こうした議論を踏まえて農業と食品産業との連携強化や、環境負荷低減の促進、先端技術の開発と利用など通じて食品産業を中核とした食料システムを構築するため、その支援を国が行う仕組みを検討することになった。
法制度の内容は今後検討されるが、みどりの食料システム法のように、食料システムの持続性確保のため国が基本方針を示すことを盛り込む。
その基本方針に即して、農業と食品産業との連携強化や環境負荷低減などの促進、技術の開発と利用の促進といった課題に対して食品事業者が立てた計画を認定する制度を構築する方針だ。
計画が認定された事業者は税制や金融などを優遇して支援する。
農業と食品産業の連携については、これまでも農商工連携や6次産業化への取り組みがあるが、今回は地域を先導する意欲ある食品事業者を地域先導食品事業者と位置づけ、農業者との連携や協業によって、地域に所得と雇用を生み出し、地域経済の活性化を図ることをめざす。
こうした取り組みに幅広く関係者が参加し連携する場として地域コンソーシアムをつくることや、地域ごと取り組みを束ねる全国プラットフォームも構築し、新たなビジネスを生み出すことをめざす。
最近では地政学的なリスクを背景に輸入農産物の価格は2021年以降高騰しており、国産野菜の利用を増やしていきたいとする実需者が約3~5割存在するなど、原材料を輸入から国産に切り換えるニーズが高まっている。
これまでに食品企業がコロッケなどに適した高品質のジャガイモを調達するため鮮度保持ができる貯蔵法を構築して産地に提供したり、農薬の使用を抑えた農法に適する農業機械を寄贈したりするといった連携がある。
また、滋賀県では琵琶湖の環境保全に寄与するために県内JAが県産小麦「びわほなみ」を生産し、食品産業が参画したプロジェクトで県産小麦をまるごと使った中華麺を提供するという新しい事業が動いている。
農林水産省は「幅広い食品事業者を総合的に支援するのは初めて」としている。一方で同省は合理的な費用が考慮された価格形成の仕組みも法制化する。国産食材の活用や、環境負荷低減などの取り組みを支援することで「農業と食品事業者と連携で価値を高めた商品をて提供することで、消費者に値上げを理解してもらう」という面もある。
重要な記事
最新の記事
-
戦前戦後の髪型の変化と床屋、パーマ屋さん【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第360回2025年10月16日
-
【2025国際協同組合年】「協同組合っていいかも!」 若い世代へ発信を 連続シンポ第6回2025年10月15日
-
イネカメムシをムシヒキアブが捕食 「天敵」防除に可能性 有機農研シンポで報告2025年10月15日
-
平成の大合併と地方自治【小松泰信・地方の眼力】2025年10月15日
-
公開シンポ「わが国の農業の将来を考える」11月1日開催 日本農学アカデミー2025年10月15日
-
令和7年度加工食品CFP算定ロールモデル創出へ モデル事業の参加企業を決定 農水省2025年10月15日
-
西崎幸広氏ら元プロ野球選手が指導「JA全農WCBF少年野球教室」草津市で開催2025年10月15日
-
元卓球日本代表・石川佳純が全国を巡る卓球教室 三重で開催 JA全農2025年10月15日
-
新米など新潟県特産品が「お客様送料負担なし」キャンペーン実施中 JAタウン2025年10月15日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」マロンゴールドで鹿児島の郷土料理「がね」を調理 JAタウン2025年10月15日
-
みなとみらいでお芋掘り「横浜おいも万博2025」さつまいも収穫体験開催2025年10月15日
-
JA全農京都×JA全農兵庫×JA全農ふくれん「ご当地ピザ」セット販売 JAタウン2025年10月15日
-
2027年国際園芸博にタイ王国が公式参加契約2025年10月15日
-
「水田輪作新技術プロジェクト」キックオフフォーラム開催 農研機構2025年10月15日
-
「第77回秋田県農業機械化ショー」にSAXESシリーズ、KOMECTなど出展 サタケ2025年10月15日
-
「直進アシスト搭載トラクタ」がみどり投資促進税制の対象機械に認定 井関農機2025年10月15日
-
東京駅「秋の味覚マルシェ」で新米や採れたて野菜など販売 さいたま市2025年10月15日
-
県民みんなでつくる「白米LOVE」公開 ごはんのお供をシェア 兵庫県2025年10月15日
-
16日は「世界食料デー」賛同企業など「食」の問題解決へランチタイムに投稿2025年10月15日
-
農機具プライベートブランド「NOUKINAVI+」公式サイト開設 唐沢農機サービス2025年10月15日