利用されない農地6割の恐れ 農水省が地域計画を検証2025年6月10日
農水省が公表した「地域計画の分析・検証」によると、将来の受け手が位置づけられていない農地が4割弱あるが、10年後の受け手として現在の高齢農業者が位置づけられた地域計画もあり、それを踏まえると将来、受け手がおらず利用されない農地が59.4%になるリスクがあることが分かった。
地域計画は今年3月末時点で全国1613市町村、1万8633地区で策定されている。
農水省はこのうち先行して策定された466市町村4643地区の地域計画を分析した。
分析対象となった地域計画の農用地面積は104万haで、分析の結果、将来の受け手が位置づけられていない農地が36.3%(38万ha)あることが分かった。
一方、10年後の農業者の経営面積として目標地図に位置づけられた66万haのうち、規模縮小などの意向のある農地が約9万ha(8.4%)、「一定年齢以上の農業者の農地」が約15万ha(14.7%)あることが分かった。すなわち、実質将来の受け手の展望がなく、実際には将来利用されないリスクのある農地が23.1%と含まれていることが示された。
これらと、将来の受け手が位置づけられていない農地36.3%と合わせると59.4%となり、6割が将来利用されないおそれがある農地となる懸念が示された。
農水省は今回の分析を通じて、農地とその担い手が「現況地図にほぼ近い目標地図」となっている計画は、10年後の担い手が「過大に位置づけられている傾向」があるとしている。
その結果、将来受け手のいない農地が「過少」となっている可能性を指摘する。
また、現況地図とほぼ同じ目標地図で担い手への農地集積率が20%程度あるにも関わらず、集積目標数値が80%と設定されているなど、実態と目標に大きな差がある地域計画も確認されたという。
このため農水省は作成された地域計画について目標地図ベースで将来の農地集積状況などを検証することが必要だとする。
将来の受け手がいない農地についての要因分析からは、①既存の担い手の引き受けに限界があり担い手不足となっている、②10ha未満の小さな規模で地域計画を策定したため地域内に受け手が少なく受け手を位置づけることができない、③基盤整備が行われておらず農地が分散しているため受け手が位置づけられていない、④農地所有者が不在村のため受け手が検討できない、などとなった。
こうした課題の解決に向け、地域計画についてさらに地域で協議し、計画の広域化などによる将来の担い手の確保ほか、受け手が位置づけられていない農地の集約化と大区画など基盤整備と新規就農や法人の誘致などを一体的に行う取り組みを来年度予算概算要求に盛り込むことを同省は検討する。
不在村農地所有者は、今後相続の増加で大幅に増加することは確実なため、不在村地主の所有する農地を適正に利用していくための制度面の対応を含めて検討していく。
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