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農政:田代洋一・協同の現場を歩く

【田代洋一・協同の現場を歩く】多様な担い手再訪へ 「山河」を守る新基本法を2023年11月9日

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集落営農、農協、生協といったさまざまな「協同」の取り組みの現場を訪ね、その息吹を伝える田代洋一横浜国立大学名誉教授のシリーズが再開する。今回は再開に当たっての位置づけや現状認識を中心に紹介する。

横浜国立大学名誉教授 田代洋一氏横浜国立大学名誉教授 田代洋一氏

現場歩きを再開

「協同の現場を歩く」シリーズを2019年7月より始め、主として集落営農や生協をお訪ねした。しかし新型コロナウイルス感染症のため2020年4月でストップ。2022年秋ごろよりそろりそろりと再開したところだ。

コロナの3年間、JAの事業利益の減少や集落営農の高齢化が著しかった。それに対して、対面での情報交換が難しいなかでそれぞれの努力がなされてきた。そこで再開に当たっては、主として、1県1JA等の広域合併の話をお聞きするとともに、集落営農法人等を再訪することとした。その理由にもう少し立ち入りたい。

合併の経験に学ぶ

多くのJAが農林中金の奨励金利率の引き下げ、農協監督指針の改正等に伴う経営シミュレーションの結果を踏まえ、事業利益を確保するための事業・組織再編に本格的に取り組みだした。支所支店や営農経済施設等の統廃合が追求され、それと平行して西日本をはじめとして1県1JA等への取組みや関心が高まった。

そもそも総合農協の歴史は合併の歴史だった。大字(藩政村)・明治村規模からはじまった農協が今や県規模にまで拡大した。「ひと」が「協同」に取り組むには、日常的に顔の見える範囲を超えることに危惧があり、それを乗り越えての「合併」は賛否を伴った。

しかし「成行きシミュレーション」の結果が赤字ということになれば、放置はできない。地域からJAをなくさず、組合員や地域にこれまで以上のサービス提供を続けるためには、「足元の明るいうちに」 (萬代宣雄・元JAしまね組合長)、すなわち赤字になる前に、手を打つ必要がある。

1県1JA化は小エリア県、破綻救済、中山間地域から始まったが、最近の報道では宮崎県が来春には1JA化するという。経済連を有する本格的産地県の1県1JAは新しい段階の到来を告げる。

合併を決めるのはあくまで当事者であり、外野はそれを静観すべきだが、合併するにせよしないにせよ、これまでの経験に学ぶことはJAグループとして必須である。

国破れて山河無し

今一つの集落営農については、この間の主要テーマである食料・農業・農村基本法の見直しに関連する。

中国の対外膨張等に伴い経済安全保障が課題になるなかで、2022年2月にはロシアがウクライナに侵攻し、世界的な食料危機、とくに生産資材原料の確保難・高騰が勃発。日本は輸入原料依存・円安で直撃を受け、食料安全保障への関心がにわかに高まった。そこで、新基本法を改正して、食料安全保障を「国民一人一人の食料アクセスの実質的権利を保障する」と定義することとされた。

なぜ「一人一人の食料安全保障」が必要になったのかについて、農水省は、国力衰退により輸入するゼニにも事欠くかもしれない、格差社会化とともに国民一人一人のなかには購買力を欠く者が現れるかもしれないとした。しかしより懸念すべきは次の点だ。

第一に、これまで日本は国レベルの食料の安定供給を重視してきたが、国内供給の力(食料自給率、食料自給力)はいよいよ衰えている。一人一人の食料安全保障という十分条件の前に、食料自給率の向上という必要条件の確保が不可欠で、それは誰が農業・農村を担うのかという問題でもある。

第二に、各国とも、経済成長の一時期が過ぎれば、人口減、成長率の鈍化、そして国力の低下は避けがたい。問題は、そうなった時に足元に何を残しているか、端的に「国破れて山河あり」と言えるか、だ。

20世紀、「西洋の没落」が言われた。しかしヨーロッパは、豊かな農村や街並み、そして文化を大切に残してきた。だが、高度成長以降の日本経済は徹底して「山河」をつぶし、今や、農山村は存亡の淵に立ち、「国破れて山河なし」になりかねない。誰が「山河」を守るのか。

多様な担い手

新基本法見直し論議の一つの焦点はこの点だった。すなわち「多様な担い手」を農業についても認めるか否かだ。農水省は、農村の地域資源管理の一員としては必要としつつ、農業については担い手として認めようとしなかった。食料安全保障に名を借りつつ、農業の輸出産業化、スマート農業化、すなわち一層の構造政策の遂行を図ろうとするからだ。

それに対し、「国破れて山河あり」と言えるためには、農業農村の多様な担い手をきちんと位置付ける必要がある。

関連して見直し論に特徴的なのは、新基本法にはあった「高齢農業者の活動の促進」や「集落を基礎とした農業者の組織」がすっかり姿を消し、せいぜい法人化の対象とするだけの点だ。

集落営農は、既に新基本法の時から経営の持続性を疑問視されてきた。集落営農法人の数は伸びているが、任意組織は減少に向かい、「集落営農の時代は終わった」というのが大方の認識である。それに対し、高齢者や集落営農が農業農村を支える重要な担い手になっている現実を見据える必要がある。

以上の二点を念頭におきながら現場歩きを続けたい。こういう試みもある、こういう見方もある、といった声をお寄せいただければ幸いである。

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