農政:緊急企画:許すな!日本農業を売り渡す屈辱交渉
SDGs重視の貿易秩序への大転換を目指す日米交渉に【白石正彦・東京農業大学名誉教授】2018年10月10日
米国東部時間9月26日(水)より米国・ニューヨークで安倍首相・トランプ大統領が日米首脳会談を開催し、終了後に「日米共同声明」を公表し、日米物品貿易協定(TAG)の交渉開始に合意したことが報道されている。 私は、第1に、この英文の共同声明は本質的に「日米FTA交渉」であり、日本語での報道が誤解を与えている点を危惧している。
第2に、共同声明の5項目では、「交渉を行うに当たっては、・・他方の政府の立場を尊重する。-日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること。-米国としては自動車について、市場アクセスの交渉結果が米国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること。」と明示されている。
<5項目こそ「屈辱交渉」の本質を露呈>
この5項目こそ「屈辱交渉」の本質を露呈している。すなわち、日本側の記述内容は上記の米国側の記述内容と同様に「日本としては農林水産品について、市場アクセスの交渉結果が日本の農林水産業の生産及び雇用の増加を目指すものであること。」(白石提案)と対等の共同声明とすべきであった。
以上のようなスタートラインを誤ると日本の農林水産業の崩壊と国民の食料安全保障の危機のみでなく日本風土が育んできた生活文化の疲弊や、国土の自然資源の衰退が危惧される。
このため、1歩譲ったとしても、上記の「-日本としては農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること。」という記述は、筆者の指摘した点がコインの表裏のように密着している点を政府に確約させ、米国側にも了解を得ておくべきである。
<国民世論の合意で時代遅れの貿易秩序の枠組み転換運動を>
農業者、農協関係者のみでなく広く協同組合や自治体関係者、広範な市民が共同声明の内容を話題とし、国連が提起している2030年に向けての持続可能な発展目標(SDGs)の実現のための貿易秩序への大転換を目指す日米交渉とするべきである。このような国民世論の合意を目指し、そのことが政府の交渉力を正し、米国の世論並びに米国政府にも影響し、WTO、FTA、TPPなどの時代遅れの貿易秩序の枠組み転換に向けて螺旋的な取り組みが求められている。
(関連記事)
・書き替え」 ついに共同声明も【立憲民主党代表代行・長妻昭衆議院議員】(18.10.10)
・史上最悪の協定に歯止めを【北海道大学農学研究院・東山寛准教授】(18.10.10)
・TAGという欺瞞と暴挙を許してはならない【加藤好一・生活クラブ連合会会長】(18.10.10)
・世界の流れに逆行【八木岡努・JA水戸代表理事組合長(茨城県)】(18.10.10)
重要な記事
最新の記事
-
【解題】基本法改正は食料安保をめぐる現場での課題にどう応えようとしているのか 谷口信和東大名誉教授2024年4月23日
-
第18回全農学生「酪農の夢」コンクール「学校賞」新設 作品募集中2024年4月23日
-
元卓球日本代表・石川佳純が全国を巡る卓球教室 大分で開催 JA全農2024年4月23日
-
運営9年目・稼働率約9割 地域に喜ばれる貸出農園事業を展開 JAマインズ2024年4月23日
-
量販店等に終売通告を行う白米卸も【熊野孝文・米マーケット情報】2024年4月23日
-
【JA人事】JAむかわ(北海道)長門宏市組合長を再任(4月10日)2024年4月23日
-
【JA人事】JAとうや湖(北海道)高井一英組合長を再任(4月12日)2024年4月23日
-
農繁期の人材確保へ「いわて農業未来プロジェクト」支援開始 タイミー2024年4月23日
-
栃木県那須塩原市 道の駅「明治の森・黒磯」リニューアルオープン2024年4月23日
-
いちご生産量日本一 栃木県真岡市のPR動画「もおかのいちご物語」公開2024年4月23日
-
「夏のさつまいも博2024」さいたまスーパーアリーナで7月4日から開催2024年4月23日
-
知財功労賞「経済産業大臣表彰」を受賞 ブランド戦略とユニークな登録商標の活用が評価 サタケ2024年4月23日
-
令和5年冷凍食品の生産・消費調査 出荷額は7799億円で過去最高 日本冷凍食品協会2024年4月23日
-
農業を志す学生450人が来場「食品・農業就活サミット」開催 シンクロ・フード2024年4月23日
-
全国道の駅公式オンラインショッピングサイト「道の駅マルシェ」オープン2024年4月23日
-
千葉県市原市「第42回 市原市園芸まつり」開催2024年4月23日
-
食や農業の未来に「あったらいいな」を募集「未来エッセイ2101」AFJ2024年4月23日
-
その場で当たりが分かる「甘果にんじん」春キャンペーン開催 ファーマインド2024年4月23日
-
シードル生産者が大阪に集結「Osaka Cider Festival大阪林檎酒祭り」開催2024年4月23日
-
サラダクラブ産地表彰式 第8回「Grower of Salad Club 2024」開催2024年4月23日