雑草イネで米の品質低下 難防除雑草の脅威2013年8月7日
農研機構中央農業総合研究センター(以下農研機構)は8月5日、JA共済埼玉ビルで農林水産省との共催により「新たな難防除雑草の脅威と対策」テーマに、関東地域マッチングフォーラムを開催した。
フォーラムは研究機関の開発技術を、生産現場に迅速に普及定着させるために、生産者、普及関係者、研究者らが、双方向の情報交換を行うことを目的に開催された。
今回は、近年関東地域に侵入し、作物生産に甚大な被害をもたらしている「難防除雑草の脅威と対策」をテーマとした。
雑草イネや帰化アサガオ類などの難防除雑草は、慣行の雑草管理体系では防除できないために、作物生産の省力化、低コスト化の大きな妨げとなっている。
マッチングフォーラムでは、難防除雑草についての最新の対策技術を紹介するとともに、農業現場と技術開発のすりあわせを行い、技術をより実際的なものにするために討論した。
会場では、6つの講演と2つのパネラー説明がなされた。内容は水稲・大豆・麦の生産に甚大な被害を及ぼす難防除雑草の実際被害とその対応策を述べたものだ。
水稲生産では雑草イネ、大豆生産では帰化アサガオ、麦作ではネズミムギやカラスムギがそうである。また宮城県古川農試から、アレチウリ被害の対応と現状も報告された。
雑草イネの混入はコメの品質低下をもたらす。籾は褐色、玄米は赤米のような色をしており、収穫時に混入した場合は色彩選別機による排除が必要となる。防除対応としては、抜き取りをして秋耕(あきおこし)をしないことを周知徹底させることだ。発生前に除草剤を散布することも必要となる。
大豆生産では、帰化アサガオの防除が大きな課題となっている。「帰化アサガオ類がこんなに大変な雑草とは思わなかった。コンバインが100mも走ると刈り入れ部やこぎ胴にアサガオが絡まって停まってしまう。収穫した大豆の3割以上がアサガオだったこともある」との報告もあった。
対応としては、播種後に土壌処理剤を散布し、生育期に茎葉処理除草剤を使用することも効果的だが、最終的には手取り除草をしているのが現状だという。稲、大豆、麦などの生産は、草との戦いでもある。有意義なマッチングフォーラムだった。
(写真)
生産者、メーカーなど多くの関係者が参加したフォーラム
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