BASF新製品の総売上げは35億ユーロに 日本企業も共同開発2018年3月7日
BASF(本社:ドイツ)の農薬事業本部は今後2027年までに発売が予定される製品の総売上高が35億ユーロにのぼる見通しだと発表した。研究・開発では日本MeijiSeikaファルマや三井化学アグロとの共同開発が大きな力を発揮したという。
BASFの農薬事業本部は、現在、殺菌剤、殺虫剤、除草剤のすべての分野について新製品の開発が進行しており、現在、殺菌剤Revysol(R)(レヴィソル)や殺虫剤Inscalis(R)(インスカリス)などの主要テクノロジーが各国で登録出願中だという。2017年にBASFは農薬事業本部の研究開発に5億700万ユーロを投資したが、イノベーションへの継続的な投資により、農薬にとどまらず生物学的ソリューションやデジタルツール、デジタルデバイスなども含め、ポートフォリオを拡充していく予定としている。
農薬事業本部プレジデントを務めるマルクス・ヘルドは「当社のパイプラインでは様々な進展があり、市場への投入を視野に入れています。農作物管理、害虫防除を向上させるため、私たちは提供製品を拡充して、世界中の生産者により総合的なソリューションを提供していきます。バイエル社から取得を予定している種子、形質の研究開発の技術が、関連市場や主要作物における当社のイノベーションの可能性をさらに強化するでしょう。また、当社独自の形質の発見研究において、直接的な市場アクセスも提供してくれることになるでしょう」と述べている。
さらに、同社の今後注目の主なイノベーションについて次のように説明している。
▽最新の殺菌剤Revysol(R)の投入準備を進めており、殺菌剤のイノベーションにおけるリーダーとしての地位がさらに強化されることになる。優れた生物学的特性を備えた初のイソプロパノール・アゾールは、新たなレベルの病害防除を可能にし、穀物や大豆、とうもろこし、果実、野菜など主要作物での抵抗性を管理するうえで重要なツールとなる。Revysolは作物の生命力を高め、安定させるため、高い収量および品質を実現するのに役立ち、芝生管理や種子処理の市場においても新たな選択肢となる。2019年に市場導入を予定。
▽除草剤では、2018年に規制当局に書類提出を行う準備を進めている新たな除草剤が2種類あるほか、さらに2つ、初期発見段階にある除草剤もある。最初の2種類の除草剤は、抵抗性のあるイネ科雑草の防除のために特別に開発され、一つは主にブラックグラス、もう一つは主要なイネ科雑草や広葉雑草に用いられ、世界各地の農業従事者が効果的な雑草管理ソリューションを継続的に利用できるようにする。
▽また、BASFは除草剤耐性や雑草耐性管理テクノロジーによって除草剤製品群の拡充を継続しているが、新たに登場したProvisia(TM)(プロビジア)ライスシステムは、コメにおける雑草防除を強化する。このシステムは米国で2018年のシーズンに販売を開始する予定となっており、コメ生産者に、幅広いイネ科雑草の出芽後防除用の新たなツールを提供する。
▽殺虫剤についてもユニークな作用機構を示す新たな化合物で、殺虫剤ポートフォリオを拡充する。現在最も開発が進んでいるものがInscalis(R)。日本のMeiji Seika ファルマ(株)と共同開発を行った新たな化合物であり、主要な吸汁性害虫から幅広い作物を保護するうえで必要不可欠となるツールを提供する。Inscalisを使用した製品は規制当局の承認を経て、2018年に世界各国で販売を開始する予定だ。
▽もう一つ新たに日本の三井化学アグロ(株)と共同開発した殺虫剤が、Broflanilide(ブロフラニリド)だ。新規作用機構(IRACのグループ30)を備え、園芸作物や畑作物につく甲虫類や毛虫類など咀嚼性害虫の防除に役立つ。Broflanilideは種子処理の用途にも使用できる。また、害虫防除市場におけるアリやゴキブリ、ハエの防除においても重要なテクノロジーとなる。Broflanilideは2020年に主要な地域で販売を開始する予定だ。
▽また、生物学的ソリューションへの需要増大に対応するため、今後10年にわたり主要地域に、生物殺虫剤であるVelifer(R)(ベリファー)などのイノベーションを導入する計画だ。Veliferは標的とする害虫に対して幅広く効果を発揮し、温室でも田畑でもIPMに使用することができる。また、主要な土壌伝染病から苗や植物の保護を強化するために、農業用途として設計された種子処理用生物殺菌剤、Velondis(R)(ベロンディス)の市場導入も進めている。
▽窒素安定剤への需要も増えているので、尿素分解阻害剤であるLimus(R)(リムス)を欧州および南米で販売を開始する予定となっている。
▽そのほか、生産者が農薬製品の選定や購入の管理負担を軽減するツールなどいくつかのツールを投入する予定にしており、「今後も、継続的な投資、慎重なポートフォリオ管理、お客様との密接なつながり、そして戦略的なパートナーシップを通して、農業ソリューション提供企業としての地位を持続的に成長させていきます」と述べている。
(関連記事)
・生産性向上の研究開発に投資【スバーシュ マーカド(Subhash Markad) BASFジャパン(株)農薬事業部執行役員 事業部長】(17.12.19)
・稲の直播栽培促進で提携 IRRIとBASF(17.12.06)
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・三井とBASF 新規殺虫剤を共同開発(14.06.12)
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