農家・漁師から直接購入の利用数4.5倍増「ポケットマルシェ」利用動向2020年10月30日
全国の農家や漁師などの生産者と消費者を直接繋ぐ「ポケットマルシェ」を運営する(株)ポケットマルシェは、コロナ禍における産直SNS「ポケットマルシェ」の利用動向について最新情報をまとめた。

2020年は、コロナ禍での外出自粛により、飲食店休業や休校が相次ぎ、食材が大量に余ったことから、新たな販路を探す生産者が増加。消費者は、外出自粛の影響により自炊の機会が増え、生産者から直接オンライン上で買うなど新たな動きも生まれている。
ポケットマルシェの利用動向としては、新型コロナをきっかけに、外出せずに購入できる家庭用食材の需要増や、販路を失った生産者を対象とした「応援消費」の高まりから、ユーザ数が4.5倍、注文数はピーク時に約20倍となった。飲食店を主な販路としていたブランド肉、ブランド魚の生産者など、コロナ禍で新たな販路を探す生産者の利用登録も相次いだ。
購入者に占めるリピーターの割合は約8割。購入者の9割が、生産者と直接やり取りができる「メッセンジャー機能」を活用している。
自炊が増加し、高品質の食材を求める消費者が産直プラットフォームを活用
ポケットマルシェが2020年8月〜9月に実施した調査では、コロナ下で全体の約6割が自炊が増えたと回答し、特に30歳以下の若年層ほど増加が顕著だった。生産者と直接繋がって購入ができることのメリットとしては、「品質が高い食材を注文できる(68.7%)」という回答が最多で、高品質の食材を求める消費者が、家庭用食材の購入手段としてポケットマルシェが選んでいるようだ。
コロナ禍で販路を失った生産者を対象とする「応援消費」の高まり
食材の売り先がなくなった生産者と、応援がしたい消費者をマッチングするため、3月3日にはポケットマルシェ上に「#新型コロナで困っています」というタグを設置。過剰在庫を抱える生産者は、当該タグをつけて商品を出品でき、タグを使用した出品は、10月28日時点で2498件となった。
生産者の利用動向としては、販路拡大を目指す生産者が増加した。サービス開始時から今年の2月末まで、約3年半かけて2000人の登録生産者が集まったが、新型コロナウイルス拡大後は5か月で1000人のペースで生産者数が増加。10月28日時点では3500人と、コロナ禍前と比較して1.5倍となった。ポケットマルシェへの出品数も、2月末時点の3500品から、10月28日時点では7500品と2.1倍になっている。
生産者による新しい取り組みとして、岐阜県の若手農家がTwitter上で呼び掛け、農家を紹介する名刺サイズの「農カード」を制作。消費者にトレーディングカードのような感覚で楽しく集めてもらうことで、農家の販促に繋がれば、という思いで作られ、現在、65人の農家と6人の農業関係者が参加している。
ポケットマルシェ上にも、農カード付きの出品が並んでおり、コロナ禍でネット直販の認知度が上がり、農家と直接繋がる楽しさを知る消費者が増えてきた中、生産者と消費者がさらに関係性を深めるきっかけとして期待される。
また、外出自粛中の消費者に向けて、生産者がZoomを活用して「オンライン料理教室」を出品。注文すると、教室で使用する食材が事前に届き、Zoomを通して生産者から直接料理等を教わることができる。
5月のゴールデンウィークには、お味噌作り教室やウインナー作り教室、魚のさばきかた教室など、計13回のオンライン教室が実施された。外出自粛が緩和された今でも、生産者と消費者が手軽に交流できる機会として、出品・注文が継続している。
SNS発 農家の名刺「農カード」
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