体外培養で成熟卵子を作る第一歩 最優秀論文賞受賞東京農業大学・農研機構2017年3月29日
東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科の尾畑やよい教授と農研機構畜産研究部門家畜育種繁殖研究領域家畜肺生産ユニットの平尾雄二ユニット長らのグループの研究が、米国科学アカデミー紀要(PNAS)の2016年最優秀論文賞(Cozzarelli Prize)にこのほど選ばれた。授与式は4月30日、ワシントンDC.で開かれる予定。
表彰された研究は、試験管内(培養皿)でほ乳類胎仔の未分化の生殖細胞から機能的な卵子を作る培養系を確立したもの。昨年7月25日にPNASのオンライン版に掲載された。
例えば、雌牛が10年生きて21日周期で排卵した場合、生涯に173個しか成熟卵子を作れない。これまでの培養系では、卵子の分化を周囲の卵巣細胞が体内のようにサポートできないことが課題だったが、今回の研究で、エストロジェン(女性ホルモンともいわれる物質の総称)の阻害剤を培養液に添加することで、改善に成功。体外培養で体内より多くの成熟卵子を創る可能性を模索する第一歩となった。
今回受賞した最優秀論文賞は、PNASに掲載された論文の中から6つの部門で毎年一つずつ最優秀論文賞に選ばれている。今回の受賞を、尾畑教授は▽マウス始原生殖細胞から成熟卵子を世界で初めて作出、▽卵子形成機構の解明への貢献などが評価されたのではないかと分析している。
(写真)東京農業大学提供
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