【特殊報】トマト茎えそ病 県内で初めて発生 広島県2022年5月30日
広島県西部農業技術指導所は、ミニトマトにトマト茎えそ病の発生を県内で初めて確認。これを受け、5月30日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
茎のえそ条斑(左)、葉のえそ・輪紋と退緑症状(写真提供:広島県西部農業技術指導所)
4月に、広島県内の施設栽培ミニトマトに茎のえそ条斑、葉のえそ・輪紋等の症状を示す株が発生した。広島県立総合技術研究所農業技術センターで遺伝子診断法(RT-PCR法)により、キク茎えそウイルス(Chrysanthemumstemnecrosisvirus:CSNV)が検出され、トマト茎えそ病と確認された。
同病は2008年に群馬県で初めて発生が確認され、これまでに17都府県で発生が報告されている。広島県で同ウイルスによる病害は、2006年にキク茎えそ病が初めて確認されたが、トマトでの発生は初めて。なお、当該施設以外での発生は、確認されていない。
病徴としては、茎にえそ条斑、葉にえそ、輪紋や退緑、株の生長点付近ではえそ、萎縮等などの症状を生じ、果実では、着色異常、えそや変形を生じる。これらの症状は,トマト黄化えそウイルス(TSWV)による病徴と似ており識別は難しい。
同ウイルスは、ミカンキイロアザミウマにより媒介される。1齢幼虫が感染植物を吸汁することにより同ウイルスを獲得し、成虫がウイルスを永続伝搬。経卵伝染、種子伝染、汁液伝染及び土壌伝染はしないとされている。同ウイルスによる病害は、国内ではトマト・ミニトマトの他、ピーマン、トウガラシ、キク、トルコギキョウ、アスターで発生報告がある。
キク茎えそウイルス(CSNV)を媒介するミカンキイロアザミウマの成虫(写真提供:広島県西部農業技術指導所)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇発病株は抜き取り,施設内や周辺に放置しないよう注意し、適正に処分する。
〇同ウイルスに対する登録農薬はない。媒介虫であるミカンキイロアザミウマに対する薬剤散布を行う。ミカンキイロアザミウマの防除を行う場合は、ミカンキイロアザミウマ、またはアザミウマ類に登録のある農薬を散布。薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連用を避ける。
〇施設内及び周辺雑草はミカンキイロアザミウマの生息場所となるため、施設内外の除草を徹底する。
〇施設栽培の開口部に目合い0.4ミリ以下の防虫網を張り、施設内へのミカンキイロアザミウマの侵入を防ぐ。
〇栽培終了後は、作物が枯死するまで施設を閉鎖して蒸しこみを行い、ミカンキイロアザミウマの施設外への移出を防止する。
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