珍しい「八重咲きリンドウ」が誕生 仏花以外へ用途拡大 生研支援センター2022年12月6日
農林水産業や食品産業の分野で新事業の創出や技術革新をめざす研究に資金を提供する生研支援センターは、研究成果として珍しい「八重咲きリンドウ」について紹介している。
八重咲きの「いわて八重の輝きブルー」(岩手県農業研究センター提供)
これまでリンドウといえば、花びらが一重咲きで、色が青紫色のお墓参りなどに使われる仏花のイメージが強い。その利用範囲は限られていたが、新たに誕生した「八重咲きリンドウ」は、そのイメージを大きく変えそうだ。
岩手県農業研究センターや八幡平市花き研究開発センターなどは、長年にわたる品種改良の末、花びらが重なって咲く八重咲きリンドウを育成。2021年9月にはピンクや水色、濃い青色の3つの品種が「あしろブーケ」のブランド名で初出荷され、今年9月には青く輝く「いわて八重の輝きブルー」が市場に出荷された。
この珍しいリンドウは、イヌサフランなどの種子に含まれ、種なしスイカなどの品種改良に使われる生理活性物質である"コルヒチン"などを使って染色体を倍加させる技術を採用。また、大量に育成した苗から八重咲きにかかわる遺伝子を目印に、その苗を効率よく選び出す「DNAマーカー育種技術」により効率的に品種改良が行われた。
4つの八重咲き品種はすでに贈答用や観賞用などに利用され始めており、現在、赤いリンドウの品種開発にも力を入れている。将来的には海外での生産も検討されており、リンドウの主産地である岩手県の花き産業が、より活性化することが期待される。
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