国内養液栽培システム市場 前年比100.7%、80億5900万円の見込 矢野経済研究所2024年10月31日
矢野経済研究所は、国内における施設園芸を調査。養液栽培システム市場規模について公表した。2024年の国内養液栽培システム市場は前年比100.7%の80億5900万円が見込まれる。
市場概況
国内の農業は担い手や後継者などの労働力不足、生産者の安定収入が課題となっている。これに加え、食に対する安心や安全への意識の高まりから、消費者が減農薬作物を求めることによるコスト上昇などといった課題を抱えている。
こうしたなか、解決策の一つとして、養液栽培が普及。養液栽培は土壌病害などによる連作障害を回避できることで、地理的環境等による栽培不適地域における栽培を可能にしたり、装置化・システム化により耕起(土を耕すこと)や除草、土壌消毒などの作業が不要となるため、労働時間の短縮につながる。また周年栽培が可能となり、効率化などによる生産量の増大が可能となる。
2023年の国内の養液栽培システム市場規模は、システムメーカー出荷金額ベースで前年比92.4%の80億600万円。これは各種資材価格の高騰が製品の値上げにつながり、既存生産者の追加設備投資が難しい状況が続いていることが要因。
2024年に入り、資材価格の上昇も落ち着きつつあり、新規参入する生産者の設備投資も期待されることから、2024年の同市場規模は前年比100.7%の80億5900万円を見込む。
環境に配慮した農業への取組みが進む
農林水産省は、みどりの食料システム戦略において、「2050年までに化石燃料を使用しない施設への完全移行を目指す」という目標を掲げている。その中で、農林水産省は2027年度より実施する全ての補助事業への「クロスコンプライアンス」の導入を決定。2024年度から試行段階に入り、補助金の受給にあたり環境負荷低減の取組みを義務化する。
また、施設園芸機器・資材メーカーや食品事業者などは、みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画の認定を受ける例が増加しており、施設園芸に関する計画の認定も進んでいる。このように国が先導役となり、環境に配慮した農業の実現に向けた取組みを生産者や施設園芸機器・資材メーカーが進めている。
今後も農業施策が牽引して、農業における環境への配慮の取組みが進むと考えられる。
将来展望
同調査では、2025年の養液栽培システム市場規模は、前年比101.0%の81億4300万円になると予測。資材価格の上昇も一服するとみられ、特に異業種から参入する事業者は初期投資が大きくても扱いやすい養液栽培システムを導入する可能性が高く、今後、市場は堅調に推移していく見通し。
また、養液栽培システムは肥料のコントロールがしやすく、植物へ適量の肥料を与えることが可能なことに加え、水耕栽培・固形培地栽培では排液循環システム等が普及することで、肥料の無駄削減が可能となる。これらは、みどりの食料システム戦略の目標である化学肥料削減に繋がることから、今後は同様の新技術の研究開発が進むと同時に、生産者への養液栽培システムの導入が推進されると考える。
同調査は4月~9月にかけて、施設園芸関連資材メーカー、関連団体・官公庁等を対象にオンライン、電話、WEBアンケートなどで行われた。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(2)病理検査で家畜を守る 研究開発室 中村素直さん2025年9月17日
-
9月最需要期の生乳需給 北海道増産で混乱回避2025年9月17日
-
営農指導員 経営分析でスキルアップ JA上伊那【JA営農・経済フォーラム】(2)2025年9月17日
-
能登に一度は行きまっし 【小松泰信・地方の眼力】2025年9月17日
-
【石破首相退陣に思う】しがらみ断ち切るには野党と協力を 日本維新の会 池畑浩太朗衆議院議員2025年9月17日
-
米価 5kg4000円台に 13週ぶり2025年9月17日
-
飼料用米、WCS用稲、飼料作物の生産・利用に関するアンケート実施 農水省2025年9月17日
-
「第11回全国小学生一輪車大会」に協賛「ニッポンの食」で応援 JA全農2025年9月17日
-
みやぎの新米販売開始セレモニー プレゼントキャンペーンも実施 JA全農みやぎ2025年9月17日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」ダイニング札幌ステラプレイスで北海道産食材の料理を堪能 JAタウン2025年9月17日
-
JAグループ「実りの秋!国消国産 JA直売所キャンペーン2025」10月スタート2025年9月17日
-
【消費者の目・花ちゃん】スマホ置く余裕を2025年9月17日
-
日越農業協力対話官民フォーラムに参加 農業環境研究所と覚書を締結 Green Carbon2025年9月17日
-
安全性検査クリアの農業機械 1機種8型式を公表 農研機構2025年9月17日
-
生乳によるまろやかな味わい「農協 生乳たっぷり」コーヒーミルクといちごミルク新発売 協同乳業2025年9月17日
-
【役員人事】マルトモ(10月1日付)2025年9月17日
-
無人自動運転コンバイン、農業食料工学会「開発特別賞」を受賞 クボタ2025年9月17日
-
厄介な雑草に対処 栽培アシストAIに「雑草画像診断」追加 AgriweB2025年9月17日
-
「果房 メロンとロマン」秋の新作パフェ&デリパフェが登場 青森県つがる市2025年9月17日
-
木南晴夏セレクト冷凍パンも販売「パンフェス in ららぽーと横浜2025」に初出店 パンフォーユー2025年9月17日