「地下の森林」長期間劣化しないことを実証 森林総研2025年6月24日
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所と飛島建設技術研究所、ソイルウッドの研究のグループは、地中に打設された丸太が長期間劣化しないことを実証した。これは、木材の地中利用を進め、あたかも地下に森林を築いたような状態にすることが、気候変動対策に有効であることを科学的に示す成果となる。

大気中の二酸化炭素を吸収・固定する森林は、炭素貯蔵庫として気候変動対策に効果を発揮することが広く認められている。一方、軟弱地盤上の構造物を支え・安定化させる目的で古くから地中に多数の丸太を打設することが行われてきた。地中に打設された丸太は、森林が炭素貯蔵庫であるのと同様、地下に炭素を貯蔵していることになることから、地中に打設された丸太は「地下の森林」と呼ばれている。
「地上の森林」に貯蔵された炭素は、経済活動に伴う伐採や強風、火災など様々な要因により、場合によっては容易に減少してしまうが、「地下の森林」に貯蔵された炭素はどうか。これまで「地下の森林」の劣化を厳密に評価した研究はなく、その理由は打設した丸太の初期密度がわからないからで、掘り出された丸太密度から固定炭素量の減少を推定できなかった。
過去の事例研究から地中の酸素濃度が低い場所に打設された丸太の劣化は外周部から進行することが分かっているため、研究グループは、80年以上にわたって酸素濃度が低い地下水位以深におかれていた丸太の外周部から内部にわたる密度の変動を軟X線デンシトメトリーと呼ばれる方法で詳細に解析。その結果、丸太の外周付近と内部との密度に差が認められなかった。これは、初期密度が不明でもこの方法を使うことで80年以上にわたって丸太全体が健全に保たれていたことが確認できたことになる。
気候変動対策の一つとして木材製品の長期利用が注目される中、同研究は木材製品を「地下の森林」として活用することが軟弱地盤対策だけでなく気候変動対策にも貢献できることを新たな手法を通して明らかにした。
同研究成果は5月14日、『Journal of Wood Science』でオンライン公開された。
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