農水省「中小企業イノベーション創出推進事業」約12.5億円で採択 TOWING2024年1月15日
名古屋大学発のグリーン&アグリテックベンチャー企業のTOWINGは、農林水産省中小企業イノベーション創出推進基金事業(SBIR、フェーズ3基金事業:技術実証等)に採択された。同事業は「高機能バイオ炭の大規模製造プロセスの開発及び大規模農地実証」をテーマに提案を行い、交付限度総額約12.5億円の採択を受けた。
高機能バイオ炭「宙炭」で育ている作物の様子
多くの農産物の生産に適用可能なバイオ炭は、製造過程で未利用バイオマスを活用することによる「循環型経済組成」の観点から、他の方法論と比較してGHG削減効果が高いと考えられている。しかし、従来のバイオ炭の施用では、土壌酸性度(pH)が過剰に上昇する問題や、高コスト等の問題があり、農業生産者に積極的に活用されていなかった。
こうした背景を踏まえ、同社はバイオ炭に土壌由来微生物を培養した高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」を開発。高機能バイオ炭は、散布時の過剰な土壌酸性度上昇を回避できるよう設計され、有機肥料の利用効率向上による化学肥料削減効果、土壌病害菌の繁殖抑止効果も確認されている。また、高機能バイオ炭の原料は未利用バイオマスが使われ、同社ではもみ殻、畜糞等の農業残渣、茶殻・コーヒーかす等の食料・飲料加工残渣、バーク(木の皮)や竹など木質由来の残渣など、100種類以上のバイオマスの高機能バイオ炭化試験に成功。これまでは試験導入の段階だったが、今後、量産スケールで大規模に高機能バイオ炭を製造し、商用化を行うフェーズに移行する。
同社は、このほど採択された事業を通じ、様々な原料をベースとした高機能バイオ炭の大量生産モデルを確立。大量生産した場合のコスト及び製造プロセス確立を前提として、農業生産者の営農収支向上、及び農業産業におけるGHG削減効果の最大化を実現する。そのために九州、北関東を含む、最大3拠点の大規模量産試作プラントを建設するとともに、以下3点を重点的に取り組む。
◎TOWINGが取り組む技術実証
1:高機能バイオ炭の大規模製造プロセスの開発
多様なバイオマス原料の活用を前提に、高機能バイオ炭の製造ばらつきを抑制し、歩留まりの高いプロセスを開発・確立。また、炭化条件、微生物培養時の環境制御条件の最適化とともに、低コストなプラントを開発し、運用モデルの確立までを実施する。
2:高機能バイオ炭の大規模散布・栽培実証による効果定量化
これまではもみ殻や鶏ふんを原料とした高機能バイオ炭の大規模散布・栽培実証を行ってきたが、飲料・食料残渣などを原料とした、新原料の高機能バイオ炭で検証。また、既存農機を活用した散布手法の確立も行い、産地への導入手法の定着を目指す。
3:高機能バイオ炭製造・施用プロセスにおける、温室効果ガス排出削減効果の最大化
高機能バイオ炭の製造プロセスで生じるエネルギーの再利用や、製造プロセス・農地への施用プロセスそのものを最適化。原料である未利用バイオマスを、高機能バイオ炭として加工・製造し、農地に施用されるまでの一連のライフサイクルにおけるGHGの排出削減効果を、定量化・最大化を目指す。同事業の採択を受けて、新たに立ち上げる量産試作プラントでの大規模技術実証を通じ、温室効果ガス削減、地域の未利用バイオマス処理、減化学肥料・有機農地転換を同時に実現できるソリューション「高機能バイオ炭」の確立を目指す。
重要な記事
最新の記事
-
(394)Climate stripes(気候ストライプ)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年7月26日
-
地域医療の実態 診療報酬に反映を JA全厚連が決議2024年7月26日
-
取扱高 過去最高の930億円 日本文化厚生連決算2024年7月26日
-
【人事異動】JA全厚生連 新理事長に歸山好尚氏(7月25日)2024年7月26日
-
【警報】果樹全般に果樹カメムシ類 県下全域で最大限の警戒を 鳥取県2024年7月26日
-
【注意報】イネに斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2024年7月26日
-
今が旬の「夏酒」日本の酒情報館で提案 日本酒造組合中央会2024年7月26日
-
ヤンマーマルシェ、タキイ種苗と食育企画「とりたて野菜の料理教室」開催 カゴメ2024年7月26日
-
「ごろん丸ごと国産みかんヨーグルト」再登場 全国のローソンで発売 北海道乳業2024年7月26日
-
物価高騰が実質消費を抑制 外食産業市場動向調査6月度2024年7月26日
-
農機具王「サマーセール」開催 8月1日から リンク2024年7月26日
-
能登工場で育った「奇跡のぶなしめじ」商品化 25日から数量限定で受注開始 ミスズライフ2024年7月26日
-
東京・茅場町の屋上菜園で「ハーブの日」を楽しむイベント開催 エスビー食品2024年7月26日
-
鳥インフル 米国オハイオ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2024年7月26日
-
大玉すいか販売大幅減 小玉「ピノ・ガール」は前年比146.8% 農業総研2024年7月26日
-
千葉県市原市 特産の梨 担い手確保・育成へ 全国から研修生募集2024年7月26日
-
水産・農畜産振興 自治体との共創事例紹介でウェビナー開催 フーディソン2024年7月26日
-
新規除草剤「ラピディシル」アルゼンチンで農薬登録を取得 住友化学2024年7月26日
-
自由研究に「物流・ITおしごと体験」8月は14回開催 パルシステム連合会2024年7月26日
-
高槻市特産「服部越瓜」の漬け込み作業が最盛期2024年7月26日