フラワーアレンジメントが高次脳機能障害に効果 農研機構2018年12月19日
農研機構と茨城県立医療大学は、事故や脳卒中などにより認知機能に障害を負った高次脳機能障害者がフラワーアレンジメントを利用した認知機能の訓練を実施すると、記憶力が向上し、その効果が3ヵ月間保たれることを明らかにした。
高次脳機能障害とは、不慮の事故(交通事故や転倒)や病気によって脳に損傷を負い、記憶や注意、言語などの認知機能が低下し生活に支障をきたしている状態を指す。
2016年の厚生労働省の調査では、高次脳機能障害者は全国で約32万7千人と推定され、自立した生活を送り、社会復帰を目指すためには、認知リハビリテーションが重要な役割を果たすとされる。
農研機構と茨城県立医療大学は2010年にフラワーアレンジメントを通して認知機能の訓練を行う手法(SFAプログラム)を開発した。SFAプログラムは、利用者が吸水スポンジに付けた○や△の印に順に花材を挿して、パズルを組み立てるようにフラワーアレンジメントを行う。
今回、高次脳機能障害者を対象にした臨床研究の結果、SFAプログラムに参加した16名の被験者では、記憶テスト得点が平均12.7点から23.3点へと有意に向上し、非参加群と比べると4割以上得点が高くなった。さらに16名中追跡調査した9名では、3ヵ月後もテスト成績の向上効果が維持されていた。今後、SFAプログラムは高次脳機能障害者の認知リハビリテーション手法として効果が期待される。
SFAプログラムに使用する印付きスポンジ資材(200円~)は、全国の生花店やインターネットから購入できる。
(写真)
スポンジ上の○印に黄色のバラ、△印に赤いカーネーションを配置した。各印は花材として用いる切り花の種類と対応していて利用者は手順書に示された順番に従い、切り花を印に差し込み、フラワーアレンジメントを作成する。標準的な難度である基本デザインの場合、利用者は10分ほどで作品を完成させることができる。
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