日中食品汚染
- 著者
- 高橋五郎
- 発行所
- 文藝春秋(文春新書)
- 発行日
- 2014年3月20日
- 定価
- 本体760円+税
- 電話
- 03-3365-1211
- 評者
- 野沢博 / 茨城県西農業共済組合理事、専業農家
本書は、中国を中心に海外農村調査歴40年の豊富な経験を基に、日中の食品汚染の恐るべき実態を赤裸々に暴いており、人脈をいかした確かな資料が豊富に掲載されている。
何が食の安全脅かす?
日本の問題点も指摘
読み進む程に食べるものがなくなり、未来を担う子どもたちには与えたくないと感じるのは私だけではないはずだ。増え続ける食品添加物、氾濫する遺伝子組み換え食品。輸入食品はナマモノから加工品に急速に変わり、牛肉エキス、豚肉エキス、チキンエキス、野菜エキス、酵母エキス等々、正体不明の様々なエキスは消費者の身近な存在になったと言われる。
中国の食品汚染の現状をめぐる化学肥料と農薬の多投と土壌汚染の悪循環、地下水汚染と水不足、pm2.5による大気汚染や重金属汚染等々の分析は、現地調査を重ねてきた著者だからこそ説得力がある。そして食品汚染は中国側の責任だけでなく、日本側にもあることが強調されている。私も成田空港の輸入食品検疫所を見学した際、職員不足を担当者は嘆いていた。 「日中の食品汚染」は著者が冒頭で言っているように、70年前後から始まった国の減反政策と、その後の食料自給率の低下がもたらした最大の弊害だ。
迫るTPP交渉の行方。アメリカの危険な食糧戦略。さらに日豪EPAの合意は明らかに日本農業に打撃をあたえ、ますます食料輸入を助長する。 福島原発事故に無反省な国と東電の存在もある。今こそ消費者、農民、良識ある研究者が連携して、国の亡国農政を止めさせなければならない。そういう意味からも、ぜひ一読頂きたい本である。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































