日本人は「食なき国」を望むのか

- 著者
- 山下惣一
- 発行所
- 家の光協会
- 発行日
- 2014年8月1日
- 定価
- 本体1400円+税
- 電話
- 03-3266-9029
- 評者
- 清水章子 / 国民生活センター調査室長
本書は、日本の農業の未来についての筆者の熱い思いが凝縮された書である。筆者は永年の農業実践者であり、小農擁護の立場を超えてその発言には重みがあり、読む者に思考の転換を迫る。
風土無視の構造改革
思考転換を迫る論考
「農業は、人類の生存と共に続く永続性が最優先されなければならない」「株式会社がやる農業と農家が営む農業とは似て非なるものである」等々。
大規模農業礼賛の風潮に対して「農業構造改革論というのは風土、地形を無視し、農業を農村や農家から切り離して論じている」「農業の大規模化は単作化・機械化で人減らしを促進する。小規模農業は小なるが故に自給的かつ有機的となり、多くの人を生かし、地域を支える」との指摘には説得力がある。農業大国の米国農業の実情についての紹介は興味深い。農民の7割は兼業農家で農場の平均所得は日本と変わらず、農外所得が圧倒的に多い、等々。
日本農業の強さとして、「生産地と消費地の近さを生かした地産・地消」「恵まれた気候風土」「消費者の意識の高さ」を挙げている。これは、日本農業の強みであると同時に消費者にとっても歓迎すべきことである。大多数の消費者は、食生活の基本食材である野菜・コメ等について、低農薬等そこそこの安全性とほどほどの価格での供給を望んでいる。農業の大規模化はそれが損なわれるような気がしてならない。消費者の強みは購入過程での選別である。小農=JAのマークだけではなく、大農との品質面での差別化に期待したい。
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