農協合併を考える【普天間朝重・JAおきなわ専務】2017年1月31日
昨年12月23日付けの日本農業新聞に高知県が2019年に県域1JA合併を目指すことが報道された。高知県以外にも同様に県単一JAに向けて取り組んでいる県もあると聞く。こうした県では現在でも合併に向けた協議がなされていると思うので、県単一JAを実現した立場から農協合併を考えたい。
農協の歴史は合併の歴史といってもいい。特に1991年(平成3年)の第19回JA全国大会で決議された「組織・事業改革」において広域合併と連合会統合による組織2段階化以降は急速に合併が進み、当初の3299から現在では659JAにまで減少している。単純平均すれば大体1県15JA程度である。
過去の農協合併の過程を見ると概ね集落自治体単位から市町村単位、市郡単位というような経緯をたどっており、県によってはさらに地域を拡大して3~5JA構想まであるようである。
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問題は、規模拡大が合併のメリットであるとすれば、究極の合併は「1」ではないのか、とうことだ。
合併のたびに規模拡大を主張するのであれば、なぜ10なのか、なぜ3なのか、ということになる。「適正規模」とか「地域密着」というが、合併構想のたびに規模が変化し、地域の括りも変化する。これでは組合員が理解できない。
沖縄県の場合もそうだ。当初市郡単位の39JA構想、その後は地区ごと(北部、中部、南部、宮古、八重山)の5JA構想、最終的には(27JAが合併して)1JAとなった。
支店は基幹支店と地域支店があり、基幹支店は52支店で概ね市町村単位。回り道をしながらも結局は(市郡でもなく、地区でもなく)市町村単位に行き着いた。地域の発展に向けては行政とJAは"車の両輪"ということであり、県との連携は本店、市町村対応は基幹支店ということになる。
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農協合併は往々にして経営面(現在の、あるいは将来の)からの視点になりがちであるが、組合員や地域の目線で見ればどうだろう。
単一JAの利点は県内すべての組合員が同一のサービスを受けられるという点だ。特に本県では多くの離島を抱えており、これら離島のJA(合併前)は経営体力もさることながら大半が固定比率100を下回っており(法令の「自己資本基準」に抵触する)、必要な施設や人材の確保もままならない状況であった。
しかし単一JA合併により、「必要なもの(ヒト・モノ・カネ)を、必要な場所に、必要なだけ」提供することが可能となったことで、合併後はこうした地域にも等しく施設整備を進め、人材面でもかなりの人数を本島から派遣している(大卒で、都会っ子で、おしゃれな草食系が島に来るなんて地元の組合員は想像できただろうか)。
そこでは都市農協問題も信用事業代理店化もなく、ひたすら地域を支えるJAの姿があるのみだ。
単一JAになってJAの評価も高まっている。農家の評価を青壮年部組織に見れば、合併初年度(平成14年度)の8組織373名から27年度は30組織632名に拡大しており、JAに対する期待が大きくなっている。
県民の評価を県内学生就職希望ランキングで見れば、JAおきなわは平成27年が4位(1位は地元スーパー、2・3位は地銀)、農協改革問題で揺れた28年でさえ7位であり、毎年の職員採用試験では大学・短大・専門学校卒業生で80名の採用に対し300~400名が受験する。
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このコラムの1回目でJAは3つの危機に直面していると指摘した。①TPP=農業の危機、②農協改革=組織の危機、③マイナス金利=経営の危機、だ。
その危機を突破する一つの手段として合併が位置付けられるとすれば今後、協議は加速していくだろう。
フェイスブックの最高執行責任者(COO)で「世界で最も有力な女性50人」にも選出されたシェリル・サンドバーグがその著書『リーン・イン(LEAN IN)』でいう。「目標到達への道筋は梯子(はしご)ではなくジャングルジムだ」と。梯子は一本道だが、ジャングルジムにはいろんな道がある(回り道でもいいじゃないか)。
ということで、1JAについてもぜひ選択肢の一つに加えてほしい。
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