JAの「総合カタログ」を作ろう!【JAまるごと相談室・伊藤喜代次】2022年6月14日
いますぐ、やるべきことは、これだ!?
A・ライフ・デザイン研究所
代表 伊藤喜代次
今日は、言いたいことを先に書きます。JAの最大の強みを活かした組織・事業戦略の展開には「JA総合カタログ」が必要で、速やかに制作してほしいですね。すべての組合員に、そして、地域のみなさんに配布してほしいと思うのですが、いかがでしょうか。
コロナ禍において、接触型の事業が後退、来店者数の減少などが顕著になっています。高齢者の巣ごもり生活だけでなく、リモートワークなど自宅仕事も増えています。JAのこともさることながら、新鮮で安心な直売所を知ってもらい、地元の農業や農家のことを知ってもらう絶好の機会です。このチャンス活かさない手はないですね。
金融、共済・保険、生産資材・生鮮生活用品の小売り、農業生産振興、集荷・販売・直売、介護・福祉、土地活用・賃貸事業支援など、多種多様な事業を兼営していることは、JAの最大の強みです。JAの役職員のいう「総合事業」ですが、その強みを積極的に活かそうと工夫し、努力しているJAは少ないようです。なぜでしょうか。
最大の問題は、連合会が本気でJAや組合員のことを考えて、連合会同士が協力や共同し、チームで支援していくという思考と行動が足りないからではないか、と考えています。それがJA内部の縦割り型の組織・事業・職員の働きを固定化し、柔軟に組合員の営農や暮らしを中心に物事を思考する、事業にヨコ串を刺すような動きが生まれないのです。
その結果、多事業兼営というJAの最大の強みが発揮されず、実績・生産性が上がらず、コストは下がらず、収益も伸びない、弱さの要因になっています。JAの事業や経営のイノベーションを阻害しているといえるでしょう。
1300頁の「たのめーる」は便利で楽しい
現在、原稿を書いている机の脇に(株)大塚商会の「たのめーる」があります。厚さ3cm弱、1300頁のオールカラーのカタログです。申し込むと、無償で送られてくるカタログです。PC機器・用品、文具、生活用品、食品などなど商品数は数万点といわれ、ページを繰るだけでも楽しめます。
ちなみに、大塚商会が発表した2021年12月期第2四半期(21年1~6月)連結決算は、売上高が前年同期比7.8%増の4666億2500万円、「たのめーる」の売上げは10.6%増、営業利益が同9.7%増の332億4600万円、純利益は同13.8%増の236億5700万円。コロナ禍にあって、売上げ、利益の増加額は半端ではありません。
ついでながら、最近、めっきり増えたのが、冠婚葬祭の返礼品のギフトカタログ。先日送られてきた1万円の香典返しのカタログは430頁、厚さは1cmを越え、掲載されている商品などの数は約2000点です。
発行会社の資料によれば、香典返しだけで金額別に13種類のカタログがあり、そのほかに、結婚祝い、出産祝い、入学・進学祝い、快気祝い別、金額別に用意されています。商品写真等の流用ができるとはいえ、種類は豊富です。
世の中はWebメディア全盛時代ですが、どっこい紙媒体も生きています。紙媒体の一覧性、探すのが早く、商品への信頼度も高いといわれます。また、保管性や記憶力も高い、これは、年齢に関係ないようです。
「総合カタログ」が一番必要なのはJA職員!
以前からJAのみなさんにお願いしてきたことの一つが、「JAの総合カタログを作りませんか」という提案です。JAが作成する組合員向けの情報としては、広報誌、事業報告書(計画書)、ディスクロージャー誌などがありますが、JAの事業や組織活動を紹介し、組合員や地域のみなさんにアピールするような「総合カタログ」がないのはおかしい、とずっと思ってきました。
JAの中堅職員の研修やコンサルティングをしていて強く感じるのは、職員のために「総合カタログ」が必要ではないかということです。縦割り業務が色濃い組織になってしまい、「事業活動全体を理解する手段・機会」が少ないのです。
職員に必要な「総合カタログ」は、もちろん組合員や地域のみなさんにも必要で、事業の拡大を図りたいマーケティングのうえからも、また、地域の農業や農家への理解を促すためにも有効な手段になると思います。
しかも、個々のJAがすべての編集作業をする必要はなく、共用できるデータは少なくないので、JA間で協力し合えば、印刷コストは安くできるでしょう。それぞれのJAで特徴や特集でアピールすることも可能です。
子育てしている女性たち、働いている女性向けなど、焦点を絞ったJAの「総合カタログ」もできると思います。それぞれのJAの手で、個性的な「総合カタログ」づくりに取り組んでほしいですね。むしろ、職員が参加して企画・編集する作成のプロセス自体に意味があるかもしれません。
◇ ◇
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