シンとんぼ(18)耕地面積に占める有機農業の割合を25%に拡大(2050)⑦2022年11月12日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」の環境保全戦略の3つ目「有機農業を100万haに拡大」というKPIに切り込んでいる。
前回の終わりに、「同じ品質で安全なものなら、安い方がいいに決まっているし、国民のためにもなる。であれば、なんでわざわざ苦労してコストが高い有機農産物の生産を増やして、高く買ってもらうという目標を立てるのだろうか?」と疑問を呈したが、もう少し、補足したい。
シンとんぼは、有機農産物も化学肥料や農薬を使わないで作ったという商品特性を持つ農産物商品の1つなんだろうと思う。なので、その特性を好む人が買えばいいのであって、別に「一般品でもいいや」と思っている人に、有機農産物を買ってもらうように誘導する必要はないのではないだろうか?
それこそ、有機農産物が一般品に比べ、人の健康に大きく貢献できるとかの具体的なメリット、例えば、有機農産物を10年続けて食べた人の方が健康寿命も長くなるといった差が明確に示されれば別だが、有機農産物が全体の0.6%、つまり日本人のほとんどが一般品を食べている現状であっても、日本人の平均寿命は継続して長くなっていることを考えると、少なくとも一般の農産物が人の健康に影響を与えているとは思えない。
もし、そのようなメリットがあるのであれば、国はきちんとデータに基づいて示さなければならないのではないだろうか? 欧州に比べて有機農業の取り組みが遅れているので早く追い付かなければならないといった抽象的な理由だけでは、農業現場が納得して有機農業への取組を強化するとは思えない。ただでさえ燃油や資材費が高騰に苦しんでいる中で、どうやってコスト増を賄ってくれるのか? 国民が有機農産物の良さを理解すれば高くても買ってくれるようになるといった絵に描いた餅のようなお話はもう沢山だと思っている農家も多いのではないか?
前にも書いたが、有機農産物の栽培を拡大することで国民の胃袋を満たすことができるのであれば、一般品を作っている農家にも計画的に有機農業に転換してもらうよう、栽培技術をきちんと示し、指導していくというのが国の責任だと思う。加えて、高い農産物を消費者に買ってもらうのではなく、有機農産物を拡大することで増大するコスト分を国が費用負担するなどして、消費者には従来品と同じ価格で手に入れられるようにできるならば、このKPIの達成も夢物語ではなくなると思うがいかがだろうか?
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































