シンとんぼ(25)漁獲量を2010年と同程度(444万トンまで回復)2023年1月7日
シンとんぼは、農業現場でも十分に実践が可能で、環境影響が正しく低減され、国産農産物の生産が向上して、国民の胃袋を国産で賄える状態になることを切に願いつつ、「みどりの食料システム戦略」のKPIに切り込んでいる。今回はみどり戦略2030KPIが設定された最後の分野である水産について検証してみたい。
みどり戦略における水産関係のKPIは、「漁獲量を2010年と同程度(444万トン)まで回復(2030)」と「ニホンウナギ、クロマグロ等の養殖において人工種苗比率100%を実現(2050)」、「養魚飼料の全量を配合飼料給餌に転換(2050)」の3つである。
まずは、最初の「漁獲量を2010年と同程度まで回復」である。このKPIは、2030年までに、基準年(2018年)の漁獲量311.5万トンを、適正な漁獲量である444万トンまで回復させることを目標にしている。これを達成するために、TAC(Total Allowable Catch:漁獲可能量)制度を設け、漁業者に実行を求めている。
TAC制度とは、魚種ごとに年間の漁獲可能量を定め、水産資源の保存・管理を行うための制度である。これは、貴重な水産資源を残し、再生産可能な資源状態を保って継続的に利用できるようにするものである。具体的には、産卵魚の保護(産卵期の漁獲の制限など)や網目の大きさを大きくして稚魚や幼魚などを捕獲しないようにすること、漁船数の制限といった質的な管理を進めながら、漁獲しても良い数量を制限する量的な管理を行うことによって実現を目指すものだ。
TAC制度の対象魚種は、①漁獲量が多く国民生活上重要な魚種であること、②資源状況が悪く緊急に管理を行うべき魚種であること、③日本周辺で外国人により漁獲されている魚種であること、以上3つの条件のいずれかに当てはまり、かつ、漁獲可能量を設定できる科学的知見の蓄積があるものが選ばれている。現在の対象魚種は、さんま、すけとうだら、まあじ、まいわし、まさば・ごまさば、するめいか、ずわいがにの7種であるが、今後は対象魚種を増やしながら、TAC制度の対象魚種で日本の漁獲量の8割を満たすことを目標にしている。
将来に渡って継続的に漁獲できる量を確保するというのは、とても大切なことで共感できるし、ぜひとも達成してほしいものだ。しかしながら、外国漁師による日本領海での密漁など計画達成を妨げる要因もあるので、それらの阻害要因を取り除くために、省庁を超えて国をあげて取り組まなければならないだろうな。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日