コメは投機の対象とすべきではない【原田 康・目明き千人】2023年11月4日
コメを先物取引の対象とする動きがある。コメを商品の一つとしてみる立場からは先物市場の対象とすることは当然の合理性があることとなろう。
一般的に、商品を開発して拡大、発展させて利益を上げるという仕組みとして先物市場での取引への参加は妥当であろう。貿易が自由化され、輸出、輸入が世界的な規模で拡大している現状では先物市場でのリスク・ヘッジが自衛策の一つである。
日本の米という商品はこのような立場で見ると特殊な商品である。毎日の食卓の主役であり安定したコメの生産、流通が社会全体の安定の基本の一つとなっている。また、コメはご飯以外にもお菓子や加工食品の原料としても大きなウエートを持っている。
コメ作りの水田についても環境を守る点からの評価を改めて強調したい。地政学的に見ても、日本は南北に長い島国であり、列島の中心地帯に険しい山脈があり、台風や豪雨などの災害の多い国であり水田の「自然のダム」としての機能が住宅地を災害から守ってくれている。
コメ作りは田植えから収穫まで田んぼの水を入れたり出したりの水の管理が大変であるがこれも個々の農家は自分の田んぼだけではなく、水路の確保は地域の農家の共同作業となっている。田んぼは、農村の地域全体の社会的な安定の効果は大きい。
コメを一般の商品と同じと見て流通の合理化として安いコメを探せば価格競争力で優位な外国の米が大量に輸入されることとなる。外国の米が主流となった時、国際的な紛争で入荷がストップしたら何が起きるか。
ガソリンなどの燃料の輸入がストップしたオイルショックの時にはトイレットペーパーが小売店の店頭から消えたが、コメはあの程度の混乱では済まないであろう。コメ作りは一年に一回の収穫である。
ご飯は毎日食べる。コメという商品は金融商品にはなじまない。投機の対象とすることのマイナスを正確に知ることが必要であろう。
(原田 康)
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日