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古米古古米古古古米【小松泰信・地方の眼力】2025年5月28日

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「今度こそ備蓄米の放出によって価格は下がるのか。(略)主食の高騰で暮らしが揺らいでいる。とはいえ、農家の状況を考えれば『安ければいい』というわけではないはずだ。気にかかるのは、一連の騒動で生産者と消費者が遠ざかっているように感じることだ。みなが幸せになる道はないか」(日本経済新聞・5月28日付、コラム「春秋」より)

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2022年産米への随契殺到

 小泉進次郎農林水産大臣は5月27日夜、受け付け開始からわずか1日で、備蓄米放出の随意契約に約70の事業者から20万トンを超える申し込みがあったと明らかにした。6月初旬に店頭に並ぶ見通し。なお申し込みの殺到を受け、農林水産省は27日夜、業者からの受け付けを一時休止した。放出予定の30万トンのうち、2022年産20万トン分への申し込みが殺到し、全量に達する見込みになったため。残りの10万トン分はより古い21年産で、申し込みはまだわずかとのこと。
 小泉氏は21年産の残りの備蓄米に関して、中小のスーパーや米穀店を対象に売り渡し、税抜き店頭価格が5キロ1800円程度になるとの見通しも示した。
 これによって、約91万トンあった備蓄米はこれまでの競争入札で計31万2,000トンを引き渡しており、残る60万トンの半分に当たる30万トンを今回の随意契約で放出する予定である。残っているのは約30万トン。
 西日本新聞(5月28日付)は、小泉氏が27日の全国地方新聞社連合会の記者会見で、随意契約で放出する政府備蓄米について、精米機を持つ米穀店に直接届ける方法を検討することを明らかにし、必要があれば備蓄米を全量放出する考えを示し「あらゆる選択肢を排除しない」と述べたことを報じている。氏は、国の備蓄倉庫から精米機を持つ地域の米穀店に届ける「小口分散型」の供給も一つの考え方だとし、「モードチェンジしながら最善策を打ち、対策を考え続ける」と語ったそうだ。

政治への信頼を損なう随意契約

 西日本新聞(5月28日付)は、今回の随意契約で放出する政府備蓄米が5キロ当たり税抜き2,000円程度での販売が強調されるものの、値上がりが続く銘柄米への波及は限られ、備蓄米同士を交ぜたブレンド米もあることから、消費者米価の"3層化"が進むことを予想している。
 随意契約の小売業者への売り渡す価格は60キロ当たり1万700円(税抜き)。2021、22年産備蓄用米の買い入れ価格は1万2,000円前後。経年による品質劣化を考慮した価格設定。これに小売業者の一般的な利益や精米経費などを上乗せすると、5キロで2,000円程度になる。なお、今回からは国が輸送経費を負担するそうだ。
 農水省が公表している、一般競争入札でこれまでに放出した備蓄米を使ったブレンド米の販売価格事例は、3,218~3,654円(税込み)だった。比較的新しい23、24年産ということもあるが、随意契約で放出される分に比べると割高だ。
 当コラムとしては、競争入札で高値取引に誘導され、輸送費まで負担した落札業者にしてみれば、到底納得できない差別的取引。余計なお世話だろうが、信頼関係が大きく損なわれることを危惧するばかり。当事者の心境やいかに。

「官製安売り」に歓声は禁物

 今回の備蓄米放出の新方式を、「なりふり構わぬ奇策」「『官製安売り』」とでも呼ぶべき異例の一手」と呼ぶのは中国新聞(5月27日付)の社説。
 「そもそも30万トンは全国の年間消費量の4%程度に過ぎない」ことから、「低所得者や困窮世帯に届くよう工夫を凝らすべきだ」と提言しつつ、「『備蓄』の本分を大きく逸脱した放出は緊急的で、対症療法的な措置」と冷静な筆致で迫る。
 「令和の米騒動」の背景に「コメ不足への国民の不安、危機感がある」ことと、生産や流通の現場では「そもそもの量が足りていない」という声が根強いことから、「市場に出回る量を増やさねば根本的な解決にはならない」とする。
 「長きにわたる減反、生産調整で生産者は減り、高齢化も進む。猛暑、大雨と近年の異常気象もコメ不足への不安に拍車をかけている」ことから、その状況を放置してきた「農政の責任は重い」と指弾する。その反省から「コメの適正価格や農家の所得の在り方も徹底的に議論し、構造改革に取り組むべきだ」と訴える。
 新潟日報(5月28日付)の社説も、「あくまで緊急避難的な措置としなければならない」とクギを刺している。小泉氏が「需要があれば無制限に出す」と威勢よく語っていることに関しても、「売り渡し後の備蓄は30万トンに減る」ことから、「大凶作や災害に備えるという備蓄米本来の目的もあり、放出頼みの価格抑制策には限界がある」と正論で迫る。
 同紙も、コメの価格高騰の背景に、「生産を減らしてきた長年の農政」をあげ、「場当たり的に対処するだけでなく、消費者、生産者双方にとっての適正価格が実現する農政」を国に求めている。
 神戸新聞(5月28日付)の社説は、「消費者にとって、コメは安いにこしたことはない」とした上で、留意すべき点として「肥料や燃料の値上がりでコメの生産コストも上昇している」ことを指摘する。「現在は60キロ当たり平均約1万6千円で、小規模農家ほど高くなる。これまでスーパーで売られていた5キロ2千円台の価格では、採算割れとなっている農家も少なくない」ことから、「農家が持続可能な買い取り価格と、消費者が納得できる販売価格の水準を両立させなければ、食料安全保障の基盤となる国産米は担い手の確保が難しくなる」として、「市場価格と生産コストの差額を生産者に直接支払う」ことを提案している。

小泉ホラー劇場の始まり

 ところで、誰も、触れていないことがふたつ。ひとつは、1、2年の経年劣化によって、競争入札米の約半値で取引される随意契約米の食味。かつて、平成の米騒動の時、海外からの緊急輸入米がこの国の人々のお口に合わずに、山に廃棄した業者もいたことを忘れていませんか。安物買いの銭失いになるのはいや。政治家や官僚は、貧乏人は古~い米を食え、と思っていませんか。
 政治家のお得意な、食して「美味い」だの「安全」だのと宣言する、あのパフォーマンスが見られないのはなぜだろう。
 発信力のある小泉氏なら効果絶大。冷えても美味しいところをお見せいただければ、国民はシンジロウと思うはず。ついでに、政治家がよく利用する「妻」カードを切って、「クリステルもくっている」とひと言発すれば爆発的売り上げにつながるはず。
 まさか、「クリステルはくってない」あるいは「クリステルはすてている」ってことはないよね。
 そしてもうひとつが、備蓄米全量放出で在庫ゼロとなった備蓄米の補充にアメリカ産米を輸入する可能性。それをトランプとの関税交渉に使う。それで味をしめれば農協改革。なぜなら、彼のオヤジは「郵政民営化」の男。血と痴は争えない。

 「地方の眼力」なめんなよ

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