JA共済連が初の「大規模自然災害統括者研修会」 ワークショップ形式で情報共有・意見交換 全国から27人参加2024年12月10日
JA共済連は12月9日、東京都内で初の「大規模自然災害統括者研修会」を開いた。今後予想される大規模自然災害の発生に備え、建物更生共済支払査定業務の陣頭指揮を執る各県本部建物査定部門管理者層27人が参加し、ワークショップ形式で発災直後の方針・計画策定について情報や意見を交換した。

森哲弥常務理事が熊本地震の経験を紹介
研修は自然災害に対する各本部の準備状況や各都道府県本部の取り組み状況を共有し、今後の改善や課題解決に結びつけるための討議や意見交換を目的に開かれた。冒頭、あいさつを行った森哲弥常務理事が熊本地震の際の経験から「県本部の本部長や副本部長の判断を待つのではなく、統括責任者が防災対策を進言し、県本部の意識を変える」必要があると強調した。またJA共済の責務として「早い調査・査定、共済金の支払い」を挙げて「JA共済に入ってよかったと実感してもらえる瞬間」でもあると強調した。
森常務は第一に、事務所や機材確保の重要性を説いた。熊本地震の際には、入居していたビルの被災で端末やプリンターなどの搬出に苦労したことや、事務所の確保のために全国本部の支援を得て発災の「1週間後には広域査定の第一陣」を迎え入れることができたこと。次いで調査・査定を行う人員確保も重要課題とした。南海トラフのような大規模災害では広域査定の応援が限られることから「事前の職員の教育・研修が必要。小さな災害の際の現地調査に共済連の職員やLA(ライフアドバイザー)だけでなく、JAの職員も同行してもらい調査に協力してもらう」ことを提案した。

ワークショップ方式で情報共有や意見交換
研修では、参加者が数人ずつのグループを作り、本部スタッフがファシリテーター役となって課題ごとに経験や情報を共有した。最初のテーマは発災当初の2日以内に算定すべき被害見込みの算定方法。本部から「楽天的に見ず、保守的に検討することが重要」(JA共済連の飯田康雅業務部建物共済グループ課長)と考え方を示し、メリット・デメリットなどを解説して議論に付した。
次のテーマは、発災から1週間以内をめどに損害調査・査定にかかる方針として決定すべき事項の検討。本部から調査・査定の手法、計画、体制についての取り組みを例示した。意見交換では、北陸地区業務センターから「支払いのため請求書の入力や決済などの実務が滞り、結果的に実務は北陸地区業務センターで行った」との課題も挙げられた。全国本部からは必要要員数の試算として、計算方法や算出方法を事前に決めておく必要があることが指摘された。
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