備蓄米、夏まで「毎月放出」 石破首相が江藤農相に指示 3回目は10万トン2025年4月9日
石破茂首相は4月9日午前中、江藤拓農相を首相官邸に呼び、政府備蓄米の追加放出を指示した。首相との面会後、江藤農相が報道陣に明らかにした。4月21日の週に3回目の入札を実施し、まず10万トンを放出。その後7月まで、備蓄米を毎月放出する。4回目以降の放出量は未定。2回の放出を実施しても小売価格は高止まりし、追い込まれた末の決断といえる。
江藤拓農相は4月9日午前中、石破首相から官邸に呼ばれ、政府備蓄米の追加放出を表明した。首相から指示を受け、決定内容を記者団に説明した。
「3回目は10万トン、その後も毎月」と首相指示
江藤農相によると首相からの指示は3点あった。
第1は「安定的な供給を通じて上昇した米の価格を落ち着かせるため、この夏の端境期まで切れ目なく政府備蓄米が供給されるよう、毎月、政府備蓄米の売り渡しを実施すること。その際、可能な限り早く消費者のみなさまの手に渡るよう対応策を検討するとともに、今月21日の週には第3回目の10万トンの入札を実施すること」である。
第2は「こうした政府備蓄米の売り渡しを踏まえ消費者のみなさまに円滑に米を購入いただけるよう集荷業者、卸売業者、小売業者などの流通関係者の皆様方に米価格高止まり解消に向けた対策を要請すること」だ。
第3は「必要ならばさらなる対応策を躊躇なく講じることができるよう検討すること」である。
4回目以降の放出量「状況みて判断」
農水省は3回目の放出に向けた準備を急ぐ。来週早々には、卸売業者、大手小売業者を集め、意見交換会も実施する。
江藤農相は報道陣の質問に答え、「消費者の方々が、(米の)価格が下がっていることを実感できていないことを総理も憂慮されている」「端境期をこえるまで毎月、米を定期的に放出することによって流通の世界に米が足りないという状況は解消する」「備蓄米には本来果たすべき役割がある。3回目は10万トンだが、4~6回目については状況をみてまた判断する」などと語った。
追い込まれた末に
農水省はこの間、米価高騰の責任を「流通業者の売り惜しみ」に求めてきた。高くなると思って米をため込んでいる業者が高くならないと悟って米を手放し、「スタック」(滞留)が解消されれば米価も落ち着くというシナリオを描いた。
だが、300トン以上の集荷・卸売業者は米を抱え込むどころか、前年比で▲1万トン在庫を減らしていた(「米穀の生産者・小規模事業者の在庫数量等に関する調査結果」)。「大量のスタック」は見つからなかったのである。米の小売価格は2回の放出後も下がらず、3月24日のスーパー店頭での価格は5キロ4206円まで上がった。
今回の決定は、市場の過熱を冷ます効果が一定程度あるだろう。だが、「米の不足」を痛感する流通関係者は、事態の背後に生産基盤の先細りを見透かしている。備蓄米放出は対症療法ともいえ、江藤農相も示唆したように放出できる量にも限りがある。増産による不足解消と米農家への直接支援が、今こそ求められている。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日
-
全国のうまいもの大集合「日本全国ふるさとマルシェ」東京国際フォーラムで開催2025年9月16日
-
産地とスーパーをつなぐプラットフォーム「みらいマルシェ」10月から米の取引開始2025年9月16日
-
3つの機能性「野菜一日これ一杯トリプルケア」大容量で新発売 カゴメ2025年9月16日
-
「国民一人ひとりの権利」九州大学教授招き学習会実施 パルシステム2025年9月16日