「農家守って」 小泉農相の視察で上げた声 伝えたかった思いとは2025年5月29日
5月23日、小泉農相が都内の精米店を視察した。その際、「農家を守ってください!」と声を上げた男性がいる。近所で青果店「野菜のちから」などを経営する今野徹さん(49)だ。当日、小泉大臣に何を伝えたかったのか。
小泉大臣の視察で声を上げた今野徹さん。青果店「野菜のちから」前で(東京都江東区)
視察現場に響いた声
就任間もない小泉農相は同日、大手スーパー・ライフの米売り場を視察した後、三河屋精米店に到着、店主らに迎えられた。小泉農相は「最近の米の状況をどう感じていますか」と問いかけた。
その時、報道陣・警備陣の向こうから、男性の声が響いた。
「米が安くなったら誰も作らないよ。大臣、農家を守ってくださいね。農家を考えてやってください」
小泉農相は「はい、ありがとうございます」と応え、男性は「お願いします!」。農水省のシナリオにない対話は、そこで終わった。
問題解決にならない
「野菜のちから」店内でアスパラガスを手にする今野さん
声を上げた男性は今野徹さん。三河屋精米店のある東京都江東区の清澄白河で、北海道チーズ専門店「チーズのこえ」と「野菜のちから」、北海道ミルクを使ったバター工房「バターのといき」を運営している。
「農家、農業団体だけでなく消費者も、米の価格を一方的に下げるだけでは問題解決にならないと思っています。大臣と三河屋さんとの話に割り込む形になったのは申し訳なかったですが、それを伝えたいと思いました」と今野さんは語った。
小泉農相の受け止めは
三河屋精米店を視察し店主と話す小泉進次郎農相(5月23日、東京都江東区)
今野さんの声は小泉農相にどう届いたのか。
前述したやりとりの後、三河屋精米店の店主の娘が「お米が高くて、うちのお客さんは小さなお子さんがいるママが多いので、(米と)違うメニューを考えなくちゃと最近聞く。お米離れが心配です」と言うと、小泉農相はこう応えた。
「今、『農家のみなさんを守ってくれ』という声がありましたけど、(備蓄米を)5キロ2000円台で店頭に並べようとしているのは、農家のみなさんを安い米で苦しくさせるんじゃない。高止まりが続くと米離れが起き、輸入米も入って、農家が作ったものさえ売れなくなる。それを食い止めるために必要なことだ」(要旨)
今野さんの声は、確かに届いてはいた。だが、本当に農家を守る農政になるか、道のりは険しくみえる。
消費者は「共生産者」
今野さんは北海道庁、農水省を経て独立し、北海道の素晴らしいチーズを東京の人たちに知らせたいと「チーズのこえ」を立ち上げた。
農政に携わる中、市場経済に放り込まれた米の価格がどんどん下がり、5キロ2000円を切る値段でスーパーに並ぶのを見てきた。「残ったのは焼け野原です。これではいけない。農家が希望と誇りを生産をもって続けられるようにしなければ」(今野さん)
水田、そして農業の多面的機能を守るには、所得補償、直接支払いが必要だと今野さんは考える。「消費者は『共生産者』。食べることによって生産に与し、生産を支えると思います」(今野さん)
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