【中酪2024年度乳量】都府県300万トンの大台割れ 用途別は飲用、発酵乳苦戦2025年4月17日
中央酪農会議は4月15日、2024年度の用途別販売乳量を発表した。総受託乳量は約683万トンで前年度とほぼ同量。北海道は前年度101%の微増となった半面、都府県は同98.5%の300万トン割れと減少に歯止めがかかっていない。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)
過剰脱粉解消のカギを握るヨーグルトは新商品が次々と投入されている
■北海道は395万トンで「着地」
24年度の総受託乳量は前年度対比で100%となった。指定団体別実績は以下の通り。
◎2024年度総受託乳量
・全国計682万8336(100.0)
・北海道395万5974(101.0)
・都府県287万2361(98.5)
都府県内訳
・東北 45万1662(98.0)
・関東 101万4982(99.6)
・北陸 6万3911(97.2)
・東海 28万5229(97.2)
・近畿 13万6397(98.4)
・中国 28万5476(100.0)
・四国 9万9350(96.7)
・九州 53万5354(97.6)
・全国計682万8336(100.0)
※指定団体別、単位トン、カッコ内前年度比%
2年ぶりの増産計画を立て、動向が注目された北海道は最終的に前年度101.0%、395万6000トンで「着地」した。400万トンの大台に復活するかが課題だったが、とどかなかった。
■西日本の地盤沈下が深刻
全体で見ると、西日本の地盤沈下が深刻だ。都府県では関東が100万トン、東北と九州が50万トン前後で、この3ブロックで200万トンを生産する。だが、九州が約53万5000トン、前年度対比97.6%で50万トンの大台割れが迫ってきた。大産地の熊本以外は離農も目立ち減産ペースが速まっている。北陸は6万トン台、四国はついに10万トンの大台を割り込むほど生産基盤が弱体化している。
関東は約101万5000トンと、100万トンの大台を「死守」しているが、前年度対比99.6%とわずかに減産した。離農の減産分を既存農家の増産と新規就農でどう補っていくのかが大きな課題だ。
■飲用乳価上げと増産意欲
3月の受託乳量は、北海道が前年度比102.2%と増産ペースを上げてきている。
25年度の乳価値上げが、生産、増産意欲にどうつながるかが今後の焦点となる。
大手乳業メーカーと指定生乳生産者団体との225年度飲用乳価交渉は、関東が「先行」しキロ4円引き上げで決着した。新酪肉近スタート初年度の乳価上げは、酪農家にとって「朗報」となる。北海道でも同様の決着となった。乳業とホクレンの交渉結果で加工向けも引き上げとなり、特に需要が高いバター、生クリーム向けはキロ10円の大幅なアップとなった。
■用途別では飲用、発酵乳に注視
24年度の用途別販売乳量は、飲用向けが約291万トン、前年度比97.7%と苦戦している。用途で最もシェアの高い飲用需要の動向次第で北海道での乳製品仕向けが増え過剰脱粉が解消しない悪循環が続くことになりかねない。
飲用牛乳は、乳価値上げで末端小売価格の引き上げが需要動向に影響しているほか、改正畜安法に伴う流通自由化で指定団体を経由しない自主流通グループの取り扱い牛乳が増えるなど、販売競争の激化から安売りの「素地」が広がっている。ただ、3月の飲用向けは同99.0%とやや回復傾向にある。
主にヨーグルトなどになる発酵乳需要は24年度で同99.1%とほぼ前年度と同じ。3月は100.8%と伸びている。ヨーグルト需要は過剰脱粉解消にもつながる。各メーカーとも機能性を高めた新商品も次々と開発されており、消費の底上げにつながるかが焦点だ。
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