牛への負担軽減と作業省力化を実現-農研機構、共立製薬2017年9月15日
農研機構と共立製薬(株)は牛の過剰排卵誘起法を開発し製剤化したと9月14日に発表した。
牛の増殖を効率的に進めるために受精卵移植が広く行われているが、体内受精卵を採取するために雌牛に過剰排卵処置を行う必要があるが、通常行われている過剰排卵処置では、卵胞刺激ホルモン(FSH)を1日2回、3日から5日間漸減投与することによって行われている。ただし、この方法は大きな労力を伴うだけでなく日々の注射による家畜へのストレスも無視することができない。
現場では多数回にわたるホルモン処理の簡略化を求める声は大きく、そのための研究が行われてきた。
今回、農研機構らのグループ(岐阜県畜産研究所、福岡県農林業総合試験場、家畜改良センター、福井県畜産試験場嶺南牧場、共立製薬)は、水酸化アルミニウムゲルがFSHを高率に吸着することを明らかにするとともに、水酸化アルミニウムゲル液にFSHを溶かして頸部皮下に投与すると、徐々にFSHを放出することも明らかにした。
この研究成果をもとに牛の頸部皮下に1回、肉用牛で30A.U(FSHの生物学的力価を表す単位)、乳用牛では40A.UのFSHを投与することで、複数回の注射が必要な漸減投与法に劣らない過剰排卵誘起成績を得ることが明らかになった。
この徐放剤(薬物を徐々に放出する薬剤)は製剤化され2017年2月に「アントリンR10・AI」として共立製薬から販売が開始されており、牛への負担軽減、過剰排卵処置の省力化が期待される。
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