【Jミルク脱粉在庫対策】12月に「全国参加型基金」発動決定、国の支援も不可欠に2025年11月10日
脱脂粉乳在庫が積み上がる中でJミルクは、「このままでは危険水準に達しかねない」(渡辺裕一郎専務)として、“全国参加型基金“である特別事業の発動を固めた。在庫削減の具体的規模は12月下旬に決定する。10日開催のJAグループによる基本農政確立全国集会でも生乳需給対策強化を要求。国の支援も不可欠となる。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)
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■年度末に在庫8万トン超の恐れ
Jミルクの「酪農乳業需給変動対策特別事業」実施見通しとなった。このままでは2025年度末の脱粉在庫が前年度比62%増の8万4400トンと、コロナ禍の需給不均衡が顕在化した2021年度の脱粉在庫10万トン超に迫りかねないとの危機感からだ。
直近の脱粉在庫数量は6万4700トン。渡辺専務は「早めに手を打ち、在庫を削減することが必要と判断した」と強調する。このまま在庫増大を放置すれば、生乳需給全体に悪影響を及ぼし、最悪の場合にはコロナ禍での北海道を中心とした生産抑制・減産再来の懸念も生じかねない。Jミルクが4月に創設した需給変動リスク対応のセーフティーネット基金(今年度21億円規模)で、輸入飼料との置き換えなどで在庫削減を進める。
12月下旬のJミルク戦略ビジョン推進特別委員会で在庫対策数量、基金の拠出金額など具体的な内容を決める。対象期間は25年度第4四半期(26年1~3月)。
■重点要請に畜酪需給対策
こうした中で、JAグループは10日の全国集会での自民党農林幹部への重点要請でも、農業構造転換集中対策予算の別枠確保、将来が見通せる安定的な米政策確立に加えて、牛乳・乳製品需要拡大対策など生乳需給対策の強化を掲げた。
■牛乳、ヨーグルト消費低迷
在庫対策の規模は、今後の生乳需要の動向に左右される。特に全体の約6割、400万トン近い飲用牛乳の消費見通しと、脱粉を原料としたヨーグルト、乳飲料の消費拡大がカギを握る。
直近の需給状況はどうか。Jミルクの最新情報(11月7日)では、生乳生産が前年同月比0・2%増となる一方で、肝心の牛乳の販売は、8月以降の価格改定、値上げの影響もあり前年水準を下回ったまま。ヨーグルトもドリンクタイプが9週ぶりに前年水準を上回ったものの、大容量タイプは3週連続で前年水準を下回るなど、消費低迷が続いている。生乳の需給不均衡は、脱粉在庫の拡大につながる。
■全国「需給」、農水省主導が必要
25年度は新酪肉近初年度という重要な時期に当たる。生乳需給調整は酪肉近の最重要課題の一つ。農水省が主導して着実に実践していくことが欠かせない。
改正畜安法による生乳流通自由化は、指定団体を経由しない非系統の割合を増やし全体需給に支障をきたしている。生乳需給対応で農水省は、今年度からこれまでの生乳出荷時のルール違反の規律強化に加え、「需給」対策を畜産クラスター事業など8補助事業の要件にした。こうした中で、系統、非系統問わず"全国参加型"の需給調整参加が徐々に進んできた。国産生乳700万トン以上を生産する国内酪農の安定は、米と並んで食料安全保障の要でもある。今回の酪農家、乳業メーカーによる民間の脱粉在庫対策に、農水省も財政支援が欠かせない。
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