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【インタビュー】(一社)アグベンチャーラボ 荻野浩輝代表理事理事長 食と農の未来へ種蒔き2020年12月9日

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食と農、地域と暮らしに関わる社会課題の解決をJAグループと志を同じくするさまざまなスタートアップ企業を支援するJAアクセラレータープログラムはこのほど第2期の成果発表会を終え、来年1月には第3期の応募を開始する。この取り組みを基軸にしたオープンイノベーションの場としてJAグループが昨年設置したアグベンチャーラボ(AgVenture Lab)の荻野浩輝代表理事理事長にこれまでの取り組みと成果などを聞いた。

アグベンチャーラボ 荻野浩輝代表理事理事長

志ある起業家後押し

--改めてこの組織の狙いと活動について聞かせてください。

このラボは昨年5月に発足しました。JAグループ全国8連が社員になった一般社団法人です。
私としてはJAの使命を実行するためのラボだと考えており、食と農業と暮らしに関わる社会課題を解決するために、われわれ自身も取り組むと同時に、われわれと同じ志を持つスタートアップ企業の支援をしようという組織です。
ミッションステートメントは「未来で実る今を蒔(ま)く」としています。1年、2年で成果が出るものではなくても、今、種蒔きをして幸せな未来をきちんとつくるために取り組みだということです。
目的は最初に申し上げたように社会課題を解決するために取り組むということですが、もう1つはJAの総合事業の強みを活かすということです。たとえば、一般の事業会社ではイノベーションを起こそうと手を組んだり、あるいは買収や事業提携もたくさんあります。それによって業界の境目を書き換えると新しい事業が生まれたりしますが、JAグループにはすでに内部にいくつもの業界があるわけです。そういう総合事業の強みをイノベーションに活かそうということです。
3つ目は今のように変化の早い時代のなか、JAグループも古い、スピード感のない組織、というカルチャーを変えていかなければなりません。そのためには役職員のマインドを少しでも変えていくことが必要ですが、このラボがそこに少しでも貢献できればということです。
やはりスタートアップ企業は常識にとらわれない発想で新しいビジネスを起こそうとしていますから、その発想を取り入れていくというのも1つの視点です。それをどういう領域でやるかですが、やはりJAグループですから、アグテック、フードテックを中心に、暮らしのまわりのライフテック、あるいは地方創生をテーマにしていこうということです。
それからオープンイノベーションという言葉がある通り、いろいろなバックグラウンドがある人たちとつながることを重視しています。内弁慶ではだめで、ある意味このラボが出島になって、たとえば、行政や大学、取引先、さらに農業者とつながっていく。
やはり農業者が重要です。主役はスタートアップ企業で新しいビジネスを企画するのをわれわれは育てるわけですが、大事なことは農業者と起業家が出会う場所とすることです。今はそういう場がなくて、たとえば起業家が起業して農業者に手伝ってもらおうと思ってもなかなか自分たちでそういう協力者を探すのは難しい。逆に言うと、農業者が困っていることや欲しているものを起業家に対して情報発信するということが必要だと思いますから、ここがそうした場所になるといいと思っています。ですから農業者がこのラボに入ってくることは非常に大きな価値だと思っています。

JA事業と二人三脚

--これまでどのような活動をしてきましたか。

ここでさまざまなイベントをやってきました。週に2回ほどイベントを開き月に1000人ほど多種多様な人に集まってもらって新しいネットワークをつくりました。ただコロナでぴたっと止まってしまったわけですが、オンラインで実施しています。こういう手法も使って外とのネットワークをつくったり情報発信をしています。
具体的な例では、昨年は福島県庁とのジョイントイベントで福島の復興と農業の未来というテーマでディスカッションをしました。たとえば、避難地域に指定されたところが解除されて人々が戻ってくることになったとしても、この間に耕作放棄地化が進んでおり、そこをどう戻していくのかという問題があります。福島県庁の方が言うのは日本の将来の農業の課題がここに詰まっているという。福島を考えることは日本の未来につながるわけです。
集まったのは行政マンだけでなくスマート農業関係の起業家や大学生、農水省をはじめとした中央省庁の人たちなどです。こうした多様な人たちがグループをつくって1日かけてアイデアコンテストをやりました。
海外の団体ともジョイントイベントをやっています。フランス、タイ、イスラエル、それから今やアフリカのイノベーション大国になっているルワンダなどのスタートアップ企業を日本に紹介するなどイベントです。
活動の中心となっているJAアクセラレータープログラムは、スタートアップ企業に手を挙げてもらい、われわれと協業できそうな企業や志が同じ企業を選んで一定期間、われわれがお手伝いをするというものです。たとえば、ある地域で実証試験をしたいという意向があれば、協力するJAや農業者を紹介したりなどJAグループのネットワークを使って支援します。生産現場に近いというのがJAグループの強みだと思います。
第1期は約190社の応募があり7社を選びました。第2期は約160社の応募から8社を選び11月に成果発表会を開きました。

(関連記事)
未来志向で農業の課題解決へ-JAアクセラレーター第2期成果発表会

今年は発表会の模様をユーチューブで公開しました。会場は50人ほどに限定しましたが動画はこれまで2600人ほどが見ており、オンライン開催によってより多くの人に活動を知ってもらえたと思います。実際に問い合わせをいただくなど、新しいつながりができています。第3期は来年1月から募集をはじめます。
今年、とくに強化したのは同じようなことをしているラボとの連携と大学との連携です。日本は食や農の分野での起業家はまだ少なくもっと増やしたいという思いからです。大学生はもちろんですが研究者にも研究成果を社会実装にまで持っていくような刺激を与えて大学発ベンチャーがもっと増えればと考えています。
ラボ間連携では十勝や宮崎など地域財団と連携しているほか、JA全青協とも連携協定を結んでいます。JA全青協とは毎月情報交換会を行っています。実際にスタートアップ企業を紹介して意見を聞いたり、理事会をこの場で開いてもらったりしています。オンラインで全国から参加してもらうこともできますから、コロナ禍ではありますが、コミュニケーションの回数は増えている感じです。
大学では授業で日本農業の現状と、いろいろな社会課題解決に取り組もうとしているスタートアップ企業など紹介したうえで、自分たちならどんなアイデアで起業するなどグループごとに発表してもらうといったことをしています。
このラボ自体としてめざしているのは大きく分けると3つになります。1つ目は、人が集まる場所としてのラボです。コロナ禍で集まりにくなっていますが、こうした場所があるというのは非常に意味があると思います。2つ目はJAアクセラレータープログラムに象徴されるようにスタートアップ企業が集まってくるラボにしたいということです。3つ目はスタートアップ企業はやはり資金面で苦労がありますから、農林中金のファンドとしてつくっているベンチャーキャピタルによる金融支援です。このエコシステムを売り物にしていこうと考えています。
それからオンラインを中心にした取り組みが増えてきましたから、ユーチューブにチャネルを作ってそこで流すことも始めました。今後は先進的な取り組みをしている農業者を訪ねて取材し、それを発信できればとも考えいます。

自由な発想で次代に道筋

--JAアクセラレータープログラムの手ごたえはいかがですか。

スタートアップ企業を支援して育てても、それが全農や農林中金、あるいは全国のJAにとってすぐに新しいビジネスになるといったものではないと思いますが、たとえば、今回、スタートアップ企業が開発したネコ車の電動化のように急傾斜で苦労している産地や農業者の問題を解決したいという思いはあります。そこはJAグループのフィロソフィと共感できると思います。小さいことでもこういう志を持った人たちの背中を押して世の中に出していくというのはすごく大事だと思います。
今後、農業はビジネスとして魅力的なものにならなければなりませんから、すぐには変わるものではないとしてもJAアクセラレータープログラムによって道筋を作っていき、スマート農業もきっかけにして、この取り組みをムーブメントにして魅力的な農業を実現できればと思います。これを世の中に見せていけばもっと農業に就く人が増えると思います。
こういうことをやっていけば自給率も上がっていくでしょうし、日本が安全安心な食を未来の子どもたちに確保することになり、われわれJAグループがしっかり力を尽くしていけることにもなると思います。私はもっともっと起業家を増やして新しいものをつくり日本の社会課題を解決していけるといいと思います。

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