3大施策の深化図る JA全農が事業計画2014年4月2日
JA全農は3月25日に臨時総代会を開き、平成26年度(第44年度)の事業計画などを決めた。今年度は3か年計画の2年目にあたることから、25年度事業計画と比べて大幅な変更、追加などはなく、3か年計画で定めた「元気な産地づくりと地域のくらしへの貢献」「国産農畜産物の販売力強化」「海外事業の積極展開」の3大重点事業施策のさらなる深化・追加・見直しを実行していく考えだ。
◆農業収益悪化を懸念
25年度は、この3大施策の具体的展開として▽地域生産振興策の策定▽業務用野菜・加工品の製造販社(株)グリーンメッセージの設立▽全農ブランド商品の開発▽海外で焼肉レストラン出店、などに取り組んだ。
しかし、米の直接支払交付金の減額、飼料用米への支援といった米政策の抜本的見直し、農協改革をめぐる議論、TPP交渉など事業環境は大きく変化しており、さらに4月からの消費税率引き上げで、消費減退や生産コスト増など農業収益の悪化が懸念される。
26年度は、こうした環境変化を踏まえ、新たな政策に即した国内農業生産の維持・拡大や国産農畜産物の販売力強化をさらにすすめ、組合員の負託と消費者の期待に応える事業展開をめざす。
また、JA全中とも連携しながら水田活用米穀の取り扱い拡大などの米政策見直しへの対応に力を入れるほか、被災地の実情に応じた地域農業の支援など引き続き東日本大震災からの復興支援に取り組むことにしている。
◆事業総利益は前年並
経営計画では、販売事業の強化などにより、すべての事業で取り扱いを増やし、取扱高は対前年比3%増の4兆9900億円を見込んだ。
一方、厳しい販売環境を考慮し、事業総利益は1007億円で前年並みとなる見込み。事業利益は2億5000万円で黒字を維持し、当期剰余金は3か年計画通りの52億円を見込んでいる(表1)。
各事業部門別の重点課題は次の通り(主な数値目標は、表2)。
【米穀農産事業】
最大の課題は、新たな米政策への対応だ。
生産・集荷面では、飼料用・加工用・米粉用・備蓄用などの水田活用米穀の取り扱い拡大、業務用向け多収品種の契約栽培や主食用からふるい下米まで一体で集荷する面積契約など、大規模生産者のニーズに即した提案を行っていく。
販売面では、パールライス精米販売の拡大のほか、炊飯事業や通販・宅配など消費者接近型事業の取り組みを強化する。
【園芸事業】
グリーンメッセージや提携企業を通じた業務用カット野菜・加工品の製造・販売をすすめるほか、これらへの安定的な原料供給体制の構築をめざす。
また、営農・生産支援部門と連動し、収穫作業の受委託、農機のレンタルといった支援策に取り組み、産地づくり活動をすすめる。
【営農販売企画】
農業生産基盤の維持・拡大と、担い手への支援が主な課題となる。
生産基盤対策では、▽大規模営農における経営モデルの実証・普及▽加工・業務用野菜の周年供給体系技術の確立、などに取り組む。
担い手支援では、地域農業のサポート役であるTACの活動強化を図る。JAと県域TACの連携のもとTACのレベルアップを図り、STEP5・6到達JA60%、連合会提案による生販マッチング累計300件の達成をめざす。
【生産資材事業】
トータル生産コストの低減を実現する資材・技術の開発・普及に取り組む。
資材では育苗箱全量施肥に対応した「苗箱まかせ」、低コスト養液栽培システム「うぃずOne」などの普及、中古農機については広域流通体制の構築や査定士の育成に取り組む。
そのほか、輸入元の多元化による肥料原料の安定調達、ダンボール原紙など資材輸入強化など、海外事業の拡充と購買力強化をめざす。
【畜産事業】
円安の影響などによる飼料価格高騰への対策と、国内外での販売力強化に取り組む。
輸出では、全農和牛ブランドの浸透を図りつつ、EU、東南アジアなど新規輸出国への販売と外食店舗の出店をすすめる。
また、酪農家の総合乳価の維持・向上対策では、広域流通生乳の取り扱い拡大や全国的な需給調整機能の強化など生乳の有利販売に向けた施策、業務用牛乳の需要拡大などに取り組む。
【生活事業】
25年秋に開発した国産原料にこだわった全農ブランド商品の開発強化と取り扱い拡大が最大の課題だ。
そのほか、ネット宅配事業、Aコープ店舗を核とした買い物支援、コンパクトセルフSSなど、地域のくらしの支援やライフライン確保の取り組みをすすめる。
また、太陽光発電など新エネルギー事業の取り組みも強化する。

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