輸出事業委員会 4月21日にキックオフ-JA全農2021年4月8日
JA全農は昨年12月に会長の諮問機関である系統経済事業委員会に新設を決めた輸出事業委員会の初会合を4月21日に開く。JA全農はオールジャパンで農産物輸出に取り組むための課題を整理するキックオフの会合と位置づける。
自民党の農産物輸出促進対策委員会 あいさつする福田達夫委員長
国産農畜産物の輸出拡大による国内生産基盤の拡充と農業所得の向上とJAグループ内の輸出事業の結集を目的として4月1日に設置した。
委員は12名。任期は2年間で今期は令和3年4月1日から4年8月31日まで。
系統経済事業委員会は、全農の経営管理委員会会長の諮問機関として「系統経済事業に関する基本的事業等を検討するとともに、組織内相互の意思疎通を図ることを目的」として設置されている。そのほかに米穀農産、園芸、畜産、生産資材、生活、総合事業の6事業委員会がある。事業委員会の新設は昭和50年にこの制度ができて以来初めて。
全農グループのグローバルネットワーク
4月7日の自民党農産物輸出促進対策委員会の会合でJA全農の川崎浩之参事(※崎は異体字)が会員意見の反映と系統一丸となった取り組みに向けて事業委員会を設置したことや、全農の輸出拡大の取り組み事例などを説明した。
全農は2015(平成27)年度に輸出専任部署を設置し、米国、欧州、香港など順次海外拠点を整備してきている。2020(令和2)年8月には中国の上海に現地法人(全農上海貿易有限公司)を設立し、今年4月にはマカオ拠点を新設し、8カ国・地域に10拠点を整備した。
2017(平成29)年からは米国ロスアンゼルスの和牛加工処理施設を設置し全農職員が駐在してカット技術を指導し消費者向けカット和牛を提供している。昨年からのコロナ禍で米国でも和牛の外食需要は激減したが消費者向けカット和牛はEコマースで好調に売れ、前年比328%の実績を挙げたという。
2019(令和元)年からはハラル和牛を新たに中東へ輸出している。農林中金、みずほ銀行が参画するGJFF(ガルフ・ジャパン・フード・ファンド)の投資先のUAEの卸会社を通じて国産和牛輸出を実現した。全農出資の施設でハラル屠殺された北海道サロマ牛をドバイの消費者に販売し20年実績は前年比1.6倍となった。
アジアでは香港で日本の卵の販売促進に力を入れ、日本産卵への置き換わり需要を捉え20年度は前年比2.2倍の実績を挙げた。
2020(令和2)年11月からは香港の現地企業に炊飯機器を一部設備投資し、ビジネス向け弁当への米の販売先として新たなに開拓した。また、今後は世界中の寿司人気を捉えて、寿司ロボットメーカーとタイアップし、精米と寿司ロボットをセットで売り込みも図っていくほか、宮城県のパックご飯製造会社のJA加美よつばラドファへの出資を契機に、今後は海外向けに大容量や具材入りなどのパックご飯の開発も検討する。
川崎参事はオールジャパンでの輸出拡大が重要だとして産地リレーの強化も重要だと強調した。これまでに香港で甘藷の産地リレーを行いパッケージのデザインを統一し海外店舗の棚を長期間確保した。今後はイチゴ、ブドウなど青果物を重点品目としていく方針も示した。
そのほか輸送効率化にも取り組む。集荷・物流機能を持つ全農グループ会社や提携関係にある企業を活用して混載を進めるなど、海上コンテナの積載効率の向上で輸送コストを低減する方針だ。全農がリーダーシップを発揮して複数のJAの農産物を1つのコンテナに満載して輸送する取り組みも始めている。また、仙台近郊のパールライス工場でコンテナ詰めし、仙台港を活用してアジア各国に直接輸出するなどの取り組みや、地方港や地方空港の将来的な活用も課題としている。
自民党の会合では農業者にもっとも近いJAや全農が輸出にしっかり取り組むことは農業者の所得向上とともに、日本農業の基盤強化することにあるとの期待が聞かれた。
川崎参事は「世界の成長を取り込んでいくために、全農グループは輸出でも海外でしっかり稼ぎ、それを日本生産基盤にしっかり還元できるような取り組みを進めていく」と話す。21日の輸出事業委員会は海外情勢や日本の農産物輸出の課題などについて共有し、系統一丸となった輸出の取り組み促進について意見交換する。
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