JTBと農業労働力支援で連携協定-JA全農2021年4月9日
JA全農は4月1日に、農業労働力支援事業でJTBと連携協定を締結した。連携によってJTBが農作業受託事業に本格的に取り組み、全国に拡大していく。

新型コロナ感染症の拡大によって、農業の現場では外国人労働者が来日できなくなるなど労働力不足が深刻化した。一方、給与カットや休業を余儀なくされる企業が増えている。厚労省は4月8日、コロナ失職者が累積で10万人を超えたことを明らかした。
こうした状況のなかで、労働力不足の農業界と業務が激減した企業との連携の可能性が拡大。パートナー企業による農作業受託事業で、労働力を支援しようというJA全農の取り組みに対して、複数の企業から農業参入の要望を受ける状況になっていたという。
そのなかの1つがJTBで、連携に向け昨年は試行的にJTB社員の大分での農作業研修や、愛媛での伊予柑収穫作業を実施した。愛媛では昨年12月から、6軒のみかん農家へ36人の労働力を提供して収穫作業など行った。全農県本部や地域のJAが農家の労働力需要を取りまとめ、JTBがホテルや旅館、バス会社から人材を募りアルバイト雇用したうえで労働力を提供した。この結果を受けてJTBは、農作業受託事業に本格的に取り組むことを決定した。
連携協定の締結で、JTBは全国の支店を通し、県域でパートナー企業として農作業受託事業を拡大できる。また、観光事業で培った提携旅館、ホテル、交通関係など観光業、関連する地元企業や経済団体、さらに修学旅行事業を通じた教育関係など、幅広く人材を手配することも可能となる。さらにJTBを通じた国産農畜産物の消費拡大も期待できる。
提携による事業は以下のような役割分担となる。全農・JAグループは、農業者の労働力ニーズを取りまとめてJTBに提供するとともに、JTBの全国の支店が農作業請負の仕組みのノウハウを取得したり、農作業リーダーの育成についてサポートする。
JTBは、これを受けてJAグループのパートナー企業として「農作業」を受託し作業を完遂する。
働き手はコロナ禍で影響を受けている企業の従業員や、休職者、主婦などが想定される。アルバイトとして雇用されている人材派遣のため、農家が指示命令したり教育したりする必要はない。また、受託する農作業は定植や収穫、箱詰めなど技術の要らない作業が基本。農家の依頼を受けて、いつ、どこで、どのような作業と人数が必要かなどを取りまとめるのがJAグループ側の役割となる。
JA全農は、令和3年度に重点10県域での実施を目標として今年度中に延べ5万人、4年度中に延べ10万人の労働力支援を目標としている。
連携によって観光と農業という異業種交流による労働力の流動化や、女性やJAの准組合員などへの地域内の新しい働き方の提供にもつながる。
また、コロナ禍で生じた求職者の生活応援、農作業を新たな副業や兼業とする受け皿づくり、引きこもりやミッシングワーカーなどへ自立支援にもつながる。
JA全農耕種総合対策部では、農作業請負事業を軸に栽培面積の維持・拡大と販売先の確保につなげたいとする。また、農作業を請け負う作業リーダーなどから「新たな担い手が生まれになってくれれば」と期待する。地域で支えあう農業関係人口を増やし、将来の担い手確保にもつなげる提携だ。
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