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「農業を成長産業に」 これからのJA運動めぐり議論 新世紀JA研究会2024年11月8日

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新世紀JA研究会は10月31日、11月1日の両日、東京都内のJA東京アグリパークで秋季セミナーを開いた。日本福祉大の柳在相教授のコーディネートで、「今後のJA運動の展開方向について」をテーマに6氏がディスカッションした。

大転換期にボトムアップを
東京農業大学の白石正彦名誉教授は「大転換期にあった体制をJAグループとしてどう作るか。単協のコアをネットワークでつなぎ、ボトムアップの運動を」と提起した。

JA松本ハイランドの田中均代表理事組合長は「JA全国大会決議では、『組合員』という言葉が初めてスローガンに入ったことと、『組合員のために』ではなく『とともに』がポイントだ。農協改革に対する形で始まった自己改革はお仕着せではなかったか。支所支店を起点にした改革が必要だ」。

JAひたちの秋山豊代表理事組合長は「農水省は今回、自由化路線の中にポツンと安保を入れたので、どっちを向いているかわからない。国民は国内自給論に向いている。うちでは少しずつ有機を入れ地域循環を作っている。有機農業には、金儲け一辺倒から自然回帰、人間性回復の意味がある」と話した。

田中組合長は「若いみなさんには『儲けたい』という気持ちはある。ぶどうを自分で売りたいという若い人に、先輩が『みんなで協同してここまで来て抜け駆けはないだろう』と話した。そういった意見交換ができる部会はいいなと思う」。

家族農業めぐり議論
JAみっかびの井口義朗代表理事組合長(新世紀JA研代表)は、「みどり戦略では2050年に、農薬は50%、肥料30%、有機農業100万haと打ち出した。人によっては、その頃、農業の産業革命が起きるという。われわれ農協系統としても、農業を成長産業にするため、検討、対応していく必要がある」と提唱した。

白石名誉教授は「キーワードは、専業だけでなく多様な家族農業だ」と述べたのに対し、新世紀JA研の福間莞爾常任幹事は「本気でやって生計が立てられないと、農業は守れない」と反駁。「個人任せにせず、農協がもっと農業経営の前面に出るべき」と提起した。それに対し組合長らが、「うちの子会社は赤字になった」「作物によって全然違って、言うほど簡単じゃない」と返すやりとりもあった。

白石氏が「農協改革論議での准組合員問題は、市場万能主義に立ち協同組合の本質をわかっていない政治に振り回された」と指摘すると、秋山組合長は「北海道では農協がガソリンスタンドから飲み屋まで経営し、人口のほとんどが准組合員だ。北海道の話で、『農協は農家のためになっていない』という(政治家らの)議論を少し押し戻した」と振り返り、准組合員、地域の人たちとの協同で農業を守りたいと語った。

農業が一丁目一番地
公認会計士の甲斐野新一郎氏は、「農協にとって、農業が一丁目一番地であることは間違いない。農業の形が変わる中、ビジネスモデルをどう転換するかが戦略だ。それが営農ビジョンとして職員にも共有できれば、離職防止、エンゲージメントにもなる。いろんな活動をして行けば、結果として准組合員は増える」と説いた。

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