友好協定で育む変化と未来への挑戦 JA相模原市の落合幸男組合長とJA佐久浅間の髙栁利道組合長が対談(2)2025年2月17日
JA相模原市とJA佐久浅間が2月10日、友好JA協定を締結した。都市近郊と農畜産業が盛んな地域のJAが今後、連携をどのように発展させていくか。JA相模原市の落合幸男組合長とJA佐久浅間の髙栁利道組合長に対談していただいた。
友好協定締結でかたい握手(髙栁組合長(左)と、落合組合長(右))
――具体的には。
落合 当JAの事業面をみると都市農業で組合員の世代交代もあることから、悩みや課題などの解決をお手伝いできればと、渉外担当者の集金業務は最小限にして、相談業務を中心にしようとしています。相続相談はもちろん、例えばパソコンの使い方や行政に提出する書類の書き方など何でも相談できる、そこから次世代の人にも繋がっていきたい。その仕組みを一生懸命作っているので、お互いに参考にするなど、今後は人事交流が大切になると思っています。
――都市部では農業に関心がある人も増えています。
髙栁 管内では佐久や軽井沢の生活コストが高いので、特に小諸市に移住される方が非常に多い。今はワインブームでブドウをいっぱい植えて自分でワイナリー作ろうとしています。
落合 まさに変化で上を目指していますね。先日、ブドウの話もお聞きしましたが、いろいろなことに挑戦している。相模原市をみると農業地域が消費者の近くにあることもあり、若い新規就農者もいる。様々な方と情報を共有しながら、農業を盛り上げていきたいですね。
髙栁 実は体験型農業ほ場も用意したいと考えています。来年には新規就農のために来てもらえる方を養成する場所を作ります。そこでは果樹や花き、果菜類を振興します。花きは化学肥料があまりいらないため、サステナブルな農業にもつながります。
――将来に向けた課題や挑戦は。
髙栁 高齢化はしていますが、女性が元気です。女性会でオレンジ色のジャンパーを作る企画を行っています。着てみたいという方がフレミズ会を含めて多くいらっしゃいます。そういう現場の雰囲気を用意すれば、女性はしっかりしているので、協同組合運動に参画してくれると思っています。
落合 「みどり組合」をみると組合長さんは男性が中心となっています。女性会をみていると、これからは女性の力で組織がさらに元気になると思います。一方で、JA職員をみると最近は転職も多く、採用もなかなか進まない。JAに活気がないと組合員も元気になりません。国際協同組合年の年に、今回の友好協定やJA佐久浅間への訪問で職員も良い刺激を受けています。理事会にもこういう方向で動いていると報告すると、みなさんの目の輝きが違うんです。前向きに新しいことに取り組んでいる姿が大事ですね。
髙栁 食料・農業・農村基本法の改正で行政が地域計画を作っており、JAにも協力要請があります。協力するからには、農機などへの助成もないと、高くて新規就農できないですよ。また、営農経済がマイナスで共済金融で補うと言いますが、営農経済があってこその金融共済です。営農経済が一番頑張らなければだめだと職員に言うと、みんな目の色が変わってモチベーションが上がります。
落合 当JAでは職員による営農経済のプロジェクトを作っています。金融共済だけでなく、営農経済でも若手を中心にプロジェクトで活躍しはじめました。ある講演会で私は「プロジェクトのメンバーが作ったものは部長や課長へ提案するのではなく、直接役員に提案してほしい。失敗してもやってみようという気持ちを私は持っている」と話をしました。すると、他県のJAの方から「そんな風土はできていない」と言われたことがありました。
髙栁 JA佐久浅間では14プロジェクト1研究会を進め、目標を達成したものを外して、さらに深堀するために10プロジェクトにしました。これから次期の長期ビジョンに入るので、過去のことは終わっていい、未来に向かって挑戦していこうと言っています。
落合 「未来に向かって挑戦していこう」という言葉はとても共感します。JA全国大会で広報の強化が言われています。協同組合の意義も含めて、国際協同組合年を機に組合員はもちろん、地域の皆さんと一緒に考えていく必要がある。その意味でトップ広報が大事です。この点でも髙栁組合長の発信力はすごいと感じるので、広報力も学んでいきたいですね。
髙栁 「両利きの経営」の元祖でジェームズ・マーチという学者がいます。未来への投資と既存事業の深堀を縦軸と横軸において、45度の角度になると、良いJAになるというのが私の持論です。既存事業を深掘りして、そこで得た利益を未来に投資する。この話を落合組合長にプレゼントします。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(1)養豚農家に寄り添い疾病を防ぐ クリニック北日本分室 菅沼彰大さん2025年9月16日
-
【石破首相退陣に思う】戦後80年の歴史認識 最後に示せ 社民党党首 福島みずほ参議院議員2025年9月16日
-
【今川直人・農協の核心】全中再興(6)2025年9月16日
-
国のプロパガンダで新米のスポット取引価格が反落?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年9月16日
-
准組合員問題にどう向き合うか 11月15日に農協研究会開催 参加者を募集2025年9月16日
-
ファミリーマートと共同開発「メイトー×ニッポンエール 大分産和梨」新発売 JA全農2025年9月16日
-
「JA共済アプリ」が国際的デザイン賞「Red Dot Design Award2025」受賞 国内の共済団体・保険会社として初 JA共済連2025年9月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」北海道訓子府町で じゃがいもの新品種「ゆめいころ」を収穫 JAタウン2025年9月16日
-
山形県産「シャインマスカット」品評会出品商品を数量限定で予約販売 JAタウン2025年9月16日
-
公式キャラ「トゥンクトゥンク」が大阪万博「ミャクミャク」と初コラボ商品 国際園芸博覧会協会2025年9月16日
-
世界初 土壌団粒単位の微生物シングルセルゲノム解析に成功 農研機構2025年9月16日
-
「令和7年8月6日からの低気圧と前線による大雨に伴う災害」農業経営収入保険の支払い期限を延長(適用地域追加)NOSAI全国連2025年9月16日
-
農薬出荷数量は1.3%増、農薬出荷金額は3.8%増 2025年農薬年度7月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年9月16日
-
林業の人手不足と腰痛課題解消へ 香川西部森林組合がアシストスーツを導入 イノフィス2025年9月16日
-
農業支援でネイチャーポジティブ サステナブルの成長領域を学ぶウェビナー開催2025年9月16日
-
生活協同組合ユーコープの宅配で無印良品の商品を供給開始 良品計画2025年9月16日
-
九州・沖縄の酪農の魅力を体感「らくのうマルシェ2025」博多で開催2025年9月16日
-
「アフガニスタン地震緊急支援募金」全店舗と宅配サービスで実施 コープデリ2025年9月16日
-
小学生がトラクタ遠隔操縦を体験 北大と共同でスマート農業体験イベント開催へ クボタ2025年9月16日
-
不在時のオートロックも玄関前まで配達「スマート置き配」開始 パルシステム千葉2025年9月16日