JAの活動 解説・提言詳細

2013.11.20 
【提言】地域ブランドづくりと事業革新を 白石正彦氏・東京農業大学名誉教授一覧へ

東京農大農協研究部会シンポジウムより
・営農技術・経営力強化
・「土の会」全国で活躍
・TAC訪問10万件以上
・風土生かしブランド化
・“宇宙技術”で農大モデル
・ブランド化に 衛星データ活用

 東京農業大学総合研究所の農協研究部会・GIS研究部会は、「農協による農産物の地域ブランドづくりと事業革新―新たな経済価値を創造する戦略―」をテーマに第6回シンポジウムを11月7日に開いた。

◆営農技術・経営力強化

 第1報告の白石(筆者)は、農産物ブランド化と農協のフードシステム論を踏まえた農協マーケティングの展開に加えて、
[1]“農協の営農技術力と営農経営力(リスク管理を含む)を再点検した営農指導体制の抜本的高度化”
[2]“農と食を地域で結びつける農協の食農文化事業活動と総合農協としての各事業の複合化による組合員・市民参加型の地域密着型需要創造”が求められている点を強調した。

◆「土の会」全国で活躍

 第2報告の後藤逸男氏(東京農業大学応用生物科学部教授)は、「東京農大式土壌診断システム」を確立して「全国土の会」を組織。現在全国に22支部(うち5支部はJAに事務局を配置)をもつネットワーク型実践活動をすすめている。
 報告では、後藤教授の指導を受けている「遠州土の会」(静岡県JA遠州中央に事務局を置き、ターサイ萎縮病を克服)と「浜松セルリー土の会」(静岡県JAとぴあ浜松に事務局を置き、セルリー萎縮病を克服)が、平成25年3月には両土の会・両JA合同で実践的研修会を開催し、両JAの全営農指導員が参加するなど、農家の栽培作物の特性を生かした土壌診断技術の向上と農協の営農技術指導強化の成果等を報告した。

◆TAC訪問10万件以上

 第3報告の柴田温氏(JA全農営農販売企画部開発企画室室長)は、JAグループの約2000名のTAC(営農コーディネーター)が10万人以上の農業法人・経営者を日常的に訪問しているが、これを全国共通システムで情報共有化と各種商品開発・ブランド化・販売チャネルの改善・開発のサポート、旬の国産食材を優先的に活用したメニュー提供。なぜ美味しいか? どうすれば美味しいか? など生産者の想いや地域の食文化など、農畜産物のストーリーを紹介しながら販売する「みのりみのるマルシェ」の取り組み等の「みのりみのるプロジェクト」の実態とその戦略的な意義を明らかにした。

◆風土生かしブランド化

 第4報告は、長澤豊氏(JA山形中央会会長)が、第1に山形県の地域資源や気象風土を生かしたJAグループ山形の安全・安心ブランド確立のための生産工程管理の記録と残留農薬自主検査の実施、米のDNA鑑定、肉用牛の放射性物質全頭検査の実施、特産果実(さくらんぼの品質向上、ラ・フランスの食味向上策)のブランド強化策、第2にブランド確立の要件として、[1]品質、物語、理念、情熱[2]継続と信頼、[3]地元からの発信、第3に新たな経済価値を創造する戦略として、[1]農・商工・観光の連携による食産業王国山形の構築[2]産学連携や食農教育による地域住民との意識共有[3]次世代型農業拠点エリアの整備構想を明らかにした。

◆“宇宙技術”で農大モデル

 第5報告は、鈴木充夫氏(東京農業大学国際食料情報学部教授)が、同教授が中心となった東京農業大学とJAMSS(有人宇宙システム株式会社)の連携で開発した「農大・JAMSSモデル」を活用して、「農業の現場視点に立った農協参加GISデータベースの構築と低コストでの普及の取り組み実態」を明らかにした。

◆ブランド化に 衛星データ活用

 第6報告は、佐竹浩文氏(JAやまがた営農経済部 米穀・園芸課 課長)が、当JA地区内の上山地区の237カ所の「つや姫」圃場で、[1]圃場ごとの気象データ(気温、降水量、日射量など)と衛星データ(SPAD、タンパク質)の収集、[2][1]の情報を活用した営農支援と圃場ごとのタンパク情報を活用した米ブランド戦略に取り組んでいる点を明らかにした。
 コメンテーターの梶井功氏(東京農工大学名誉教授)は、第5、第6報告との関連で気象データ・衛星データを活用した農業支援GISが米ブランド化への具体的成果、農協らしい農産物のブランド化について、松岡公明氏(JC総合研究所理事)は、フードシステムづくりの一環としての農協の地域ブランド化とマーケティングの側面から論点を提示し、活発な論議を行った。

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