JAの活動:今さら聞けない営農情報
有機農業とは 5【今さら聞けない営農情報】第124回2021年11月6日
令和3(2021)年5月12日に決定された「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の推進が大きな目標となっているようです。そこで、本稿では「有機農業とは何か」をひも解いており、その大元となる有機JAS規格について解説しています。前回までに第1条から第3条「用語の定義」まで終了し、現在、第4条「有機農産物の生産方法」を解説中です。
今回は、第4条の「ほ場に使用する種子又は苗等」です。
この項では、文字どおり有機栽培で使用できる種子や苗のことを定義しています。
最初に「種子又は苗等」の意味が書かれており、このうち「苗木」とは、有機JASの各基準に適合した苗木、穂木、台木、その他植物体の全部又は種子ではない一部のことを指し、繁殖に使われるもののことをいいます。
穂木や台木は説明不要かと思いますが、穂木は接ぎ木の台(台木)につぐ芽のこと、台木は、接ぎ木で根のある方の植物のことをいい、植物体の全部又は一部とは、サトイモやサツマイモの茎、種芋などのことをいいます。
このように有機JASで使用できる種子または苗等は、原則として、有機JASの各項目で示された基準を全て満たしたものしか使えないことになっています。しかし、そのような種子または苗等が入手困難な場合が想定されますが、このような場合の救済措置が示されています。
それは、種子繁殖する品種にあっては種子を、栄養繁殖する品種にあっては入手可能な最も若齢な苗等を、有機JASで定める基準を満たしていないほ場(いわゆる一般農法のほ場)であっても、は種または植え付け後に、持続的に効果を示す化学的に合成された肥料および農薬、別表に定める使用禁止資材を使用することなく生産されたものであれば、有機JASで使用しても良いとされています。
これは、品種の維持更新に必要な場合も同様です。品種の維持更新とは、自家採種を続けると、品種としての品質が劣化していくことがあり、それを防ぐために行うために行う種子または種苗等の生産のことをいいます。
ただし、貝割れダイコンや豆苗、もやし等のスプラウト類、タラの芽、茶の新芽などを食用新芽といいますが、これらは、有機ほ場の生産力を発揮させることなく、種子や苗等が有する生産力(自家の栄養)のみで生産される農産物の場合は、有機JASの各基準を満たした種子や苗等で生産されたものでなければなりません。(つづく)
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