アジアイネとアフリカイネの雑種障壁を克服 稔性雑種の育成手法を確立 国際農研2025年9月26日
国際農研と北海道大学の共同研究グループは、アジアイネとアフリカイネのゲノムをほぼ同じ割合で持つ稔性種間雑種を安定的に育成する新手法を開発。雑種障壁を 4倍体化によって一時的に軽減した後、もう一度 2倍体に戻すことにより、両種の中間的な稔性雑種が育成できることを実証した。得られた雑種はアフリカイネ由来の耐病性・環境耐性など有用形質の導入資源として利用が期待される。
イネの根を洗う研究員
共同研究グループは、アジア栽培イネ(Oryza sativa)とアフリカ栽培イネ(Oryza glaberrima)の遺伝子をほぼ均等に持ち、種子稔性を示す種間雑種を効率的に育成する新たな手法を確立した。
アフリカイネは、病害や環境ストレスへの耐性、雑草競合性など、アジアイネには無い有用特性を備えた栽培種。育種資源として高く評価されているが、両種を交配すると、F1雑種はほぼ完全な花粉不稔となり、種子が得られないため、「雑種障壁」と呼ばれる大きな育種上の制約が存在していた。
この花粉不稔は、雑種不稔遺伝子(HS遺伝子)の対立遺伝子(アレル)がヘテロ接合型となった場合に発現。先行研究では、両種のゲノムを倍加させた4倍体F1雑種において、HS遺伝子の作用が軽減され、花粉稔性が部分的に回復することが明らかになっていた。
同研究では、この知見を基に、4倍体雑種を花粉培養して2倍体雑種を作出。さらにその花粉を培養・倍加して、すべてのHS遺伝子をホモ接合型に固定した2倍体の倍加半数体22個体を得た。そのうち10個体は自家受粉により安定した種子稔性を示し、アジアイネとアフリカイネの双方のゲノムを中間的に保持していた(図1)。
図1:2倍体倍加半数体について
この成果は、4倍体化と2段階の花粉培養を組み合わせることで、両種の中間的な遺伝構成を持ちながら種子稔性を確保した種間雑種を安定的に育成できることを初めて実証したもの(図2)。今後は、得られた雑種材料の形質評価と有用遺伝子の特定を進め、アジアイネとアフリカイネの長所を併せ持つ新たな育種戦略への展開が期待される。
図2:4倍体化と2倍体化を介した稔性雑種の育成手法
同研究成果は6月27日、国際科学専門誌『Theoretical and Applied Genetics』オンライン版にオープンアクセスで掲載された。
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