【全中教育部・オンラインJAアカデミー】高齢者支援から広がる地域課題の解決ビジネス ヤマト運輸「ネコサポ」に学ぶ2025年9月26日
JA全中は9月19日、今年度第3回の「オンラインJAアカデミー」を開催し、ヤマト運輸常務執行役員の櫻井敏之氏が「ヤマト運輸の社会課題解決ビジネス~地域との共創領域における取組~」をテーマに講演した。
ヤマト運輸の櫻井敏之常務執行役員
「宅急便」で年間23億個を配送
ヤマト運輸が創業した1919年当時、「日本全国でトラックはわずか200台ほど。その時代に4台のトラックで輸送事業を始めた」。1976年に誕生した「宅急便」は、家庭から家庭へ荷物を届ける新しいサービスとして普及した。現在は年間23億個を取り扱い、宅配便のシェアはトップ。全国2800拠点で5万4000人のセールスドライバーが地域を支えている。
宅急便はかつてのギフト中心から、近年は「EC(ネット通販)の拡大で受け取る人が自ら発注」へと変化。さらに、アマゾンなどの大規模物流施設からの一斉配送に対応するため、営業所を統合しつつ、「地域のお客様の利便性を損なわないよう生活支援の機能を持たせている」。その一つが2016年に始まった「ネコサポステーション」だ。
ニュータウンの高齢者支援から
多摩ニュータウン内営業所での高齢者支援からスタートし、買物便、家事サポート、地域包括支援センターとの連携による見守りなどを展開。現在は全国8カ所となり、立地に応じて地元産品販売やイベント開催を通じて地域の交流拠点として機能している。メルカリなどを利用する個人事業者が多い地域では、商品の保管・梱包・撮影スペースを提供し「そのまま発送できる」仕組みも用意。月4000人以上が利用する店舗もあり、「地域コミュニティの維持・発展に貢献」している。
大阪・なんば駅前には2024年8月に観光特化型店舗を開設した。大きなスーツケースを預かるロッカーを備え、観光客の利便性向上とオーバーツーリズム対策にも寄与している。大阪・関西万博では「混雑する土産物店で購入した商品をカゴごと受け取り、当社が箱詰めして発送」している。これらの事例は「単に荷物を運ぶ会社ではなく、地域のお困りごとを解決する存在でありたい」との企業姿勢からと説明した。
高齢者見守りサービス
「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」も拡大中だ。離れて暮らすお年寄りの安否確認のため、SIM内蔵電球を活用し、24時間電源のオンオフがない場合、家族などにメールを送信。依頼に応じてスタッフが訪問する。契約は月額1700円程度と安価で、東京の稲城市や文京区、大阪の豊中市など自治体とも連携、導入が進む。異常検知は月4000件、訪問対応は30件ほどで「見守りが家族の安心につながっている」と評価されている。
離島での地域創生
北海道の離島、奥尻町では、ドラッグストアや町役場と連携し、移動販売を実施した。トラックを「ミニコンビニ」に改造し、庭先まで訪問して日用品や食品を販売する。2025年8月には国交省の認可を得てライドシェアも開始し、「物流と人の移動を一体化したサービス」が好評だ。この取り組みは地元出身の「現地社員や町役場の発想から」始まり、同社の地域密着の姿勢を示した。
JA全農山形、青森県との協業
農業分野でも連携を広げている。2025年6月にJA全農山形と包括協定を結び、サクランボやキュウリなどを庭先集荷や、営業所への持ち込みで選果場へ輸送し、生産者の負担軽減に貢献している。今後は「収穫やパック詰めなど、さらに踏み込んだ支援も検討している」とし、山形以外の全国のJAとも連携を広げたい考えだ。
青森県とは「総合流通プラットフォーム」を構築し、農水産物の輸送や輸出拡大を支援している。本州最北端から、西日本への翌日配送の仕組みを構築。香港での食品見本市に共同出展し、海外での新たな販路開拓を進めており、取り組みにはJAも参画している。
ビジネスとして成立させる
櫻井氏は「宅急便は50年を迎え、地域の一次産品輸送に支えられて成長してきた」と振り返り、今後も「地域の生産者やJAに寄り添い、課題解決に積極的に取り組んでいきたい」と強調。「単なる課題解決にとどまらず、ビジネスとして成立させる視点も必要」とし、「EC化が進む一方で、人と人が対面でサービスを提供する価値は変わらない。両面を見据えて事業を進めたい」と述べ、講演を締めくくった。
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