JAの活動:動き出す 担い手コンサルティング
【動き出す 担い手コンサルティング】営農組合の基盤強化(1) 千葉県・JAきみつ、農林中金千葉支店2024年1月25日
千葉県のJAきみつは、担い手コンサルティング事業を導入し、地域の担い手に対してJAの強みを生かした総合提案の実践に取り組んでいる。担い手農家の農業所得の向上とともに、経営基盤を強化し、JAの営農経済、信用事業の安定・拡大を図ろうというもので、農林中金千葉支店、全農千葉県本部と共に2021年から事業をスタートさせ、対象農家を増やしている。同JAが最初にモデル的に導入した農事組合法人・百目木(どうめき)営農組合にその取り組みをみる。
兼業多く受委託増 経営課題を可視化
コンサルティングチームのメンバーと宗政さん(中央)
担い手の手本に
コンサルティング事業に取り組んだ契機について、同JA経済部農業振興課の嶋野英二課長は「農業所得の増大と農業生産の拡大によって持続可能な農業基盤の実現を目指すJAの事業計画のなかで、経済部と金融部が連携し、担い手農家の経営支援をする必要を感じていた。農林中央金庫から提案があり、百目木営農組合を県域サポートによる担い手コンサルティングのモデル実施先として取り組むことになった」と言う。
"白羽の矢"が立った百目木営農組合は千葉県のほぼ中央に位置する袖ケ浦市にある。東京から30~40km余り。西側の東京湾側は宅地化が進んでいるが、営農組合のある内陸部は水田の広がる田園地帯となっている。農外の就労機会に恵まれていたことから、稲作を中心とする兼業農家が多い。
このため農業従事者の高齢化・減少による労力不足が進み、施設・農機などの更新時期を機会にリタイアする農家が増え、共同利用や農作業の共同化・受委託の動きが顕著になった。百目木営農組合は、2015(平成27)年、農地整備事業を実施した農家6人が中心になって立ち上げた。
ライスセンターが軸
翌2016年にはライスセンターを完工させ、その年の収穫から稼働を始めた。併せて2017年から、ライスセンターの効率的運用のため、営農組合として収穫作業を中心とする63aの作業受託を開始。2018年には育苗ハウスを建設し、事業拡大を図った。
さらに2019(平成31)年からは組合員による本格的な共同栽培を開始。会計の一元化、資材の共同購入、栽培品種・出荷先の統一などを進め、密苗栽培を試験的に導入するなど経営の効率化、規模の拡大を進めた。
百目木営農組合の農機
こうして、共同栽培は2019年の19haから、2020年の28ha、2021年の32ha、2022年の38ha、5年目となる2023年の43ha、そして2024年は45haへと拡大予定。作業受託面積も増え、刈り取り作業だけのところも含め、今では経営面積50haほどになった。
その間、2021年には密苗栽培面積が約15haになり、GPS付き密苗用8条田植え機を導入した。2022年にはコンサルティングチームの提案により、飼料用米・WCS(稲発酵粗飼料)にも取り組んだ。さらに2024年にも提案を受け、飼料用米より収入の多い加工用米にも挑戦し、経営の効率化と収益の増大を図る。
水稲の育苗ハウス
同営農組合の主な労働力は、理事の宗政恒興さん(72)のほか、常雇の従業員が2人となっている。うち一人は23歳の若者で、野菜栽培の主力となっている。ライスセンター、育苗ハウス、色彩選別機、リースのトラクターやコンバインなど稲作に必要な施設・機械はそろっており、必要に応じて組合員が個人で所有、または共同所有のトラクター、田植え機などを借用する。
水稲の増収が課題
JAきみつが取り組んでいる担い手コンサルティング事業は、営農経済部門の管理職1人、職員1人、信用部門の管理職1人、職員1人ほどで実践チームを構成。①担い手の事業実態把握、営農経済ソリューションの提案②財務分析や事業性評価を通じた経営課題の可視化③金融・金融以外のソリューションの提案――などを実施。また、農林中央金庫千葉支店、千葉県農業者総合支援センターが参加し、経営分析、担い手の支援を行う。
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