JAの活動:今さら聞けない営農情報
土壌診断の基礎知識(33)【今さら聞けない営農情報】第263回2024年8月24日
みどりの食料システム法の施行によって国内資源を活用した持続型農業への転換が求められ、国内資源の有効活用に期待が高まっています。作物が元気に育つためには、光、温度、水、空気に加え、生育に必要な栄養素を土壌から吸収しますが、作物が健全に生育するには土壌の健康状態を正確に把握することが必要で、そのために土壌診断があります。現在、本稿では土壌診断を実施して土壌の状態を知り、正しい処方箋をつくるために必要な土壌診断の基礎知識を紹介してきました。前回までに土壌診断に必要な基礎知識の紹介が済みましたので、今回からは処方箋作成の基礎知識を学んでいきたいと思います。
土壌中に残存する肥料成分は、圃場回りの環境条件やそれまでの施肥・作付け状況によって様々です。このため、圃場ごとに土壌改良の仕方や投入する資材が異なってきますので、その圃場の土壌の状態に合わせた投入資材の量などを把握する必要があります。その圃場に合わせた必要資材やその量、施用方法などを示すのが処方箋になります。その処方箋を決めていくプロセスは多段階あり、順番に土壌状況に合わせて改良方法を決めていくことになります。
そのプロセスはおよそ以下のとおりです。まずは①pHです。pHは中性~弱酸性が作物の生育に良いとされており、pHの測定結果から使用する資材を決めます。次に②ECです。ECは塩類集積の度合を示しますので、高すぎる(=過剰な肥料成分がある)場合などは、深耕などによって土壌の上下層をかき混ぜて希釈し、ECの値を下げたりします。次に③有効態リン酸です。土壌診断の結果不足するようであればリン酸質肥料を必要量施用します。この時、リン酸質肥料には副成分としてカルシウム、マグネシウム(苦土)、ケイ素が含まれるので、施用量の決定の際にはこの副成分の量も計算に入れます。次に④交換性カリです。カリが不足する場合は、カリ質肥料を必要量施用します。カリ質肥料にも副成分としてマグネシウムやケイ素が含まれていますので、施用量の決定の際にはこの副成分の量も計算に入れます。次に⑤遊離酸化鉄です。これは水田に限るもので、秋落ち現象を防ぐために必要な項目となります。不足するようであれば、含鉄資材を必要量施用しますが、この含鉄資材にも副成分としてカルシウムやケイ素が含まれますので、施用量の決定の際にはこの副成分の量も計算に入れます。(つづく)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(174)食料・農業・農村基本計画(16)食料自給率その他の食料安全保障の確保に関する目標2025年12月27日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(91)ビスグアニジン【防除学習帖】第330回2025年12月27日 -
農薬の正しい使い方(64)生化学的選択性【今さら聞けない営農情報】第330回2025年12月27日 -
世界が認めたイタリア料理【イタリア通信】2025年12月27日 -
【特殊報】キュウリ黒点根腐病 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【特殊報】ウメ、モモ、スモモにモモヒメヨコバイ 県内で初めて確認 高知県2025年12月26日 -
【注意報】トマト黄化葉巻病 冬春トマト栽培地域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
【注意報】イチゴにハダニ類 県内全域で多発のおそれ 熊本県2025年12月26日 -
バイオマス発電使った大型植物工場行き詰まり 株式会社サラが民事再生 膨れるコスト、資金調達に課題2025年12月26日 -
農業予算250億円増 2兆2956億円 構造転換予算は倍増2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(1)2025年12月26日 -
米政策の温故知新 価格や流通秩序化 確固たる仕組みを JA全中元専務 冨士重夫氏(2)2025年12月26日 -
米卸「鳥取県食」に特別清算命令 競争激化に米価が追い打ち 負債6.5億円2025年12月26日 -
(467)戦略:テロワール化が全てではない...【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月26日 -
【スマート農業の風】(21)スマート農業を家族経営に生かす2025年12月26日 -
JAなめがたしおさい・バイウィルと連携協定を締結 JA三井リース2025年12月26日 -
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」採択 高野冷凍・工場の省エネ対策を支援 JA三井リース2025年12月26日 -
日本の農畜水産物を世界へ 投資先の輸出企業を紹介 アグリビジネス投資育成2025年12月26日 -
石垣島で「生産」と「消費」から窒素負荷を見える化 国際農研×農研機構2025年12月26日 -
【幹部人事および関係会社人事】井関農機(1月1日付)2025年12月26日


































