JAの活動:今さら聞けない営農情報
農薬の正しい使い方(23)【今さら聞けない営農情報】第289回2025年3月15日
「いまさら」では農薬を正しく、安全に、しかも高い効果を得るため、農薬の正しい使い方の基礎知識をご紹介しようと考え、まずは、農薬を正しく使うための第一歩である農薬の製剤に関する基礎知識をご紹介しています。
農薬の防除効果は、有効成分をいずれかの方法で作物に付着または吸着させることができてはじめて発揮されます。そこで、前回より、水和剤や乳剤、液剤、フロアブル剤など水に希釈して散布する剤型を題材に、それらを効率的に作物へ付着させる方法について整理を試みています。
前回、作物のぬれ性と展着剤の要否の関係を紹介しましたが、今回はそれをもう少し詳細に解説します。
作物の表面が濡れやすいかどうかによって展着剤の使用方法は異なります。濡れやすい作物の場合は、水とくっつきやすい性質を持っているので、油とくっつく性質をもった展着剤を加えると逆に薬液が作物をはじいて(水と油の関係になる)したたり落ちて付着が悪くなるなど、作物ごとにどのようにしたらよいか理解しておく必要があります。以下に作物の濡れ性別に対処法を列記しますが、いずれの場合でも、展着剤に貼付のラベルをよく確認して、作物や添加量など用法・用量を確実に守って使用するようにして下さい。
(1) よく濡れる作物の場合
よく濡れる作物はインゲンやサツマイモ、リンゴやミカンなどの果樹に多く、これらの作物の場合は、展着剤を使用すると、ぬれが良くなりすぎて薬剤が流れ落ちるため付着がかえって悪くなります。特に乳剤の場合は、製剤の中に界面活性剤が1割程度含まれるので、乳剤を展着剤無しで散布しても、展着剤を加用したのと同じことになり流れ落ちやすくなります。このため、界面活性剤を多く含む乳剤では付着しにくい場合があるので注意が必要です。
(2) 中程度ぬれる作物の場合
中程度にぬれるものは、イチゴやトマト、メロンなど果菜類に多く、この作物の場合、乳剤に含まれる界面活性剤で展着効果があるため乳剤を使用する場合は展着剤の添加は不要であることが多いです。
これに対して乳剤以外を使用する場合は少量の展着剤の添加が必要になります。
(3) ぬれが悪い作物の場合
ぬれが悪い作物は、イネやムギ類、ダイズ、ネギなど、表面がワックス層で覆われツルツルしているものが多く、これらの作物の場合は基本的に展着剤が必要となります。乳剤は製剤の中に界面活性剤を多く含みますが、それだけでは展着効果が足りないことが多いので展着剤を加用することで付着がよくなります。
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