JAの活動:第10回JA営農・経済フォーラム
【第10回JA営農・経済フォーラム JAの実践報告①】「集えひとつに!!」力に JAきたみらい 高橋優常務2024年10月1日
JA全中は9月11日、東京都内で第10回JA営農・経済フォーラムを開いた。テーマは「次世代総点検運動をふまえた組合員参画型の地域農業振興計画等の策定・実践」。オンラインでも中継し、会場と合わせて約200人が参加した。ここでは3JAの実践事例報告を中心に紹介する。
JA全中の山野徹会長は開会のあいさつで「農家組合員が展望を持つには、組合員とJA役職員が話し合って、確信ある地域農業振興計画を策定することが求められている。とくに次世代組合員の確保に向けた取り組みや、農業所得増大に向けた施策の提案などをPDCAを回して着実に実践する必要がある」と呼びかけた。
その後、JA全中の藤間則和常務が「次期大会決議案をふまえた地域農業振興計画等の策定・実践」と題して情勢報告。全国連の取り組み報告として、JA全農の日比健常務が「JAグループ営農経済事業のDX」、JA共済連の深井裕常務が「JA共済における農業保障分野の保障充足と農業・地域への貢献の取り組みについて」、農林中金の川田淳次常務が「次期JAバンク中期戦略―農業領域の取り組み方向について」をそれぞれ報告した。
◇
組合員との対話をもとに「生産構造ビジョン」から「農業振興方策」へ
JAきたみらい 高橋優常務
合併当初の1本所8支所体制から、2009年に3地域の担当制へ移行し営農、購買、金融がそれぞれ組合員に出向く体制を整備した。
とくに営農指導事業では経営支援部と畜産部の40人の職員が農家組合員の「ふれあい相談員」として、営農計画の策定、資金・資材の調達、農畜産物の生産・販売など1年間のサイクルに合わせて「出向く営農」体制で支援している。
当JAでは「地域農業振興方策」を策定する前に「農畜産物生産構造ビジョン」を策定している。当該ビジョンの策定にあたっては、地域の農地はその地域で守ることを前提に、集落単位で組合員が集まり、JAの職員がコーディネーターとなりながら将来の姿を話し合ってもらっている。こうした座談会では、高齢化でリタイアする農家の農地を引き継ぐことが可能か、労働力は不足しないか、作物構成は今のままでいいのか、機械の共同利用も含めた協業化が必要ではないかなどを話し合い、地域ごとに農業の課題を共有してもらった。
また、150以上ある生産組織、青年・女性組織との協議も実施した。作物ごとの将来の生産構造はどうあるべきかや、施設整備のあり方なども協議した。
「農畜産物生産構造ビジョン」をもとに「地域農業振興方策」を策定する際には、組合員アンケートも実施した。アンケートでは経営主だけでなく後継者やパートナーにもJA運営への要望などを聞いた。アンケートの回収率は96・8%だが、これもふれあい相談員が「組合員との対話」を大切に取り組んできた結果だ。
「地域農業振興方策」のテーマとしては、経営形態・規模別の農業所得5年後10%アップを掲げた。そのために組合員には収量増を求め、JAとしての販売力強化などで数値目標を定めている。購買事業でもコスト低減に向けた提案を行う目標を掲げるなど総合的な取り組みで所得増をめざしている。
こうした「地域農業振興方策」では、JAの役割を明記したのはもちろんだが、所得の増大に向けて、組合員自らの取り組みも必要であるとの観点から組合員の役割も明確に記載した。
組合員との対話によって地域を守る新たな取り組みとして、集落全体が一つの経営体となる100haから500ha規模の大型法人が9法人設立された。JAとしてもコントラクター事業として農作業を請け負ったり、外国人の技能実習生による営農支援を行ったりしている。
新規就農者の受け入れにも力を入れており、行政と役割分担し、JAは経営支援部が研修中だけでなく、就農後も営農相談を受けサポートしている。
「地域農業振興方策」のスローガンとして掲げている「集えひとつに!!」の言葉に込められているように、組合員がJAに集うことで協同の力を最大限に発揮することが大切だ。そのうえで、「地域農業振興方策」をいかに達成できたかを検証し、内外の環境変化をふまえて必要であれば修正を加えていくことが必要だと考えている。
【第10回JA営農・経済フォーラム JAの実践報告①】「集えひとつに!!」力に JAきたみらい 高橋優常務
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