「信頼されない政治はあってはならない」 JA全中・萬歳章会長がTPP問題で緊急会見2013年2月25日
JA全中の萬歳章会長は2月25日夕、東京都内で緊急記者会見を開き、23日に発表した全中会長声明に基づき、改めてTPP交渉への参加反対と、日米共同声明は自民党の政権公約が満たされる内容ではないとして、「政府・与党はわれわれの信頼を裏切るような判断を絶対にすべきではない」などと強調した。
萬歳会長は、共同声明で関税や非関税障壁を撤廃するとしているTPP交渉参加国が合意した「TPPの輪郭」を日本も達成していくことを確認していることは、「まさに枠組みは変わっていないこと。聖域なき関税撤廃を前提にしたものとしか理解できない」と指摘。
また、農産物についてセンシティビティの存在が確認されているが「それがただちに関税撤廃対象から除外されることの確認になるとは到底考えられない」としたほか、自動車や保険、さらに非関税措置についても“さらなる作業が残されている”ことを挙げ「政権公約で示された6項目の判断基準が満たされているとは到底理解できない」と強調した。
そのうえで、政府には参加判断の一任取り付けの動きがあるが「わが国が議院内閣制であることをふまえ、首脳会談の協議内容が政権公約6項目を担保しているのかどうか、聖域とは何か、メリット、デメリットはどうなのか、国論を二分するTPP交渉については、内容を国民に情報開示し議論を行う必要がある」と訴えた。
会見で萬歳会長は安倍首相が「聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になった」と発言していることについて「聖域なき関税撤廃を前提にする限り参加しないと言ってきたが、今回の共同声明のなかではそれがきちんと具体的に示されていない、というのが私が認識する状況だ。それが明確になるまではいろいろな情報を出してもらって、そして自民党自らがつくった政権公約がきちんと守られているかどうかを含めて考えていきたい」、「共同声明の内容には理解しがたい内容を含んでいる」と話し、政府に説明を強く求める姿勢を表明、それを受けて「JAグループとしてしかるべき議論をして近日中にしっかりとして方向性を定める」と語った。
また、衆院選でTPPに参加反対を明らかにして当選した自民党国会議員については「公約を守って政治活動をしていただきたい。今後も当然、そういう方向で意見を申し上げていくことになる」。
さらに政府・自民党内には交渉の結果、最終的に6項目が確保されればいいという意見もあることについて「6項目については『入り口』だと思っている。入り口論として自民党自らがつくった政権公約、そう解釈している。6項目すべてがまさに玄関だと私は思っている」と話した。 しかし、政府内には今週中にも参加表明がなされるとの見方も出ている。
萬歳会長は「政治は信頼だというのが基本。信頼されない政治はあってはならない。政治はウソをついてはダメですよ。きちんと公約を守るというのが国民との約束です。それを破るような政治であってほしくない」と語気を強めた。
(関連記事)
・「正義派の農政論」TPP参加へ大きく踏み出した安倍首相 (2013.02.25)
・関税以外の5項目、オバマ大統領の受け止めは不明 日米首脳会談 (2013.02.25)
・「拙速な交渉参加判断は国益を毀損」 萬歳JA全中会長が声明 (2013.02.25)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日